宣言明けの歌舞伎町で“キャッチ高齢化”のワケ「ボッタクリ店とは違う」切実な事情

東京都など10都道府県に出されていた緊急事態宣言が20日、沖縄県を除き解除。7都道府県では21日から「まん延防止等重点措置」に移行され、条件付きで酒類の提供が可能となった。4月25日の発出以来、約2か月ぶりに店で飲酒できる日々が戻ってきたが、日本最大級の繁華街・新宿歌舞伎町ではこれまで営業自粛を続けてきた法令順守店による、“出血大サービス”が行われている。

緊急事態宣言明けの歌舞伎町には多くの人が【写真:ENCOUNT編集部】
緊急事態宣言明けの歌舞伎町には多くの人が【写真:ENCOUNT編集部】

都の要請に従う店舗は実質的に「2名様7時まで90分飲み放題無料」状態に

 東京都など10都道府県に出されていた緊急事態宣言が20日、沖縄県を除き解除。7都道府県では21日から「まん延防止等重点措置」に移行され、条件付きで酒類の提供が可能となった。4月25日の発出以来、約2か月ぶりに店で飲酒できる日々が戻ってきたが、日本最大級の繁華街・新宿歌舞伎町ではこれまで営業自粛を続けてきた法令順守店による、“出血大サービス”が行われている。

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 対象地域に対し東京都が独自に設けた酒類提供の要件は「同一グループの入店は2人以内」「営業は午後8時まで、酒類提供は午後7時まで」「利用者の滞在時間は90分以内」など。宣言明け初日のこの日、新宿歌舞伎町では日の高い時間から至るところで居酒屋の客引き、いわゆる「キャッチ」の姿が見られた。

 新宿区ではボッタクリ被害撲滅のため、路上での客引きを禁止している。「路上での客引きは禁止です」「ボッタクリに注意して」とアナウンスが流れるなか、この日目を引いたのはその年齢層の高さだ。平時は主に20代の若者が客引きをしている「歌舞伎町一番街」や「セントラルロード」では、若いキャッチに交じりサービスを呼び掛ける40代や50代の姿も。その多くは緊急事態宣言中、都の要請に従い営業を自粛してきた“法令順守店”だ。

 客引きといっても、客についていき勧誘するわけではなく、あくまで店先でサービス内容を呼び掛けるだけ。その内容も「生ビール終日0円」「ボトル半額」など破格のものばかりだ。

 午後6時過ぎに店先で呼び込みをしていた50代の男性は「これまでずっと休業していて、今日からようやく営業再開しました。都の要請通り、7時ラストオーダーの8時閉店、一組2名様まででお願いしている。生ビール0円はもちろん赤字ですが、一人でも多くのお客さんに来てもらうため、こうして店先で呼び込みをしているだけ。ボッタクリ店の客引きとは違います」と切実に話した。要請に従う一帯の店舗では、必然的にすべての要請をクリアするギリギリラインの「2名様7時まで90分飲み放題無料」の状態になっているという。

 その訴えの通り、午後7時を過ぎると呼び込みの男性は店の中へ。これまでルールを遵守してきた優良店がなりふり構っていられないほど、“正直者が馬鹿を見る”現状は限界にきている。

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