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今の中高生の価値観を追究し、作品に
Z世代は90年代後半以降に生れた人たちで、大学を出て、社会人になっている人もいます。この人たちと今の中学生や高校生、この子たちもZ世代にくくられていますが、別と考えたほうがいい。特に中学生。よく中二病なんていいますが、そんなことではなく、それ以前の世代と価値観が全く違うというところから捉えないと理解できないと思っています。大人から見ると何を考えているのかわからなくても、子どもたちにも合理的な面があり、自分たちの価値観を築いている。それ以前は、世代間のギャップがあったとしても、親の価値観の土俵と子どもの価値観の土俵にどこかで重なる部分があって、そこで何とか理解し合えた。
ところが、今の中高生の土俵とそれ以前の世代の土俵は重なるところはなく、かなり離れている。世界が違うんですね。この、全く違うんだということを前提にして、そこから始めないといけない。で、彼らがどのような土俵で考え、生きているのか、このへんのところにぼくは興味があり、小説のテーマとして重要ではないかと考えて追究しているところです。その一つの試みとして、20年7月に、中学2年生の女の子が主人公の「死にたいという本当は死にたくない私」を書きました。
これは小説の形としても一つの試みです。コミックの電子書籍は売れています。一方、若い人には小説の電子書籍はあまり売れていません。小説だと原稿用紙400枚、500枚にもなる。だから読まれない。電子書籍の場合、せいぜい100枚から130枚程度がいいのではないか。また、ネットでもコミックでもゲームでも、若い人が関心を示すのは身近な事柄なんですね。ですから、テーマは今の世界、社会で今起きていることにする。そんなふうに考えて「死にたいという本当死にたくない私」を書いたところ、とても反応がいい。試しに、僕の長編を上下巻にして電子書籍化したら、だめでした。ですから、長いと受け入れられないという僕の電子書籍についての考え方はそれほど的外れではないでしょう。第2弾、第3弾と書いていけば、電子書籍小説の在り方を問えるのではと思っています。
まあ、その執筆は今後のことで、現在は紙の本を書いています。ツイッターでつぶやいたり、やりとりしたりしたものをもとにした若い人向けの書き下ろしエッセーです。絵本も出版予定で、また、年内に若者向けの啓発書も世に出すつもりです。それが終わったら若い人たちをテーマにした小説に取り組む。体の状態を崩さないように管理しながら、来年頑張りたいですね。