【ズバリ!近況】作家・志茂田景樹が81歳、車椅子でも嘆かず、自分責めず執筆とオシャレ継続できる理由

この3月に81歳になった直木賞作家の志茂田景樹さん。歴史小説、伝記小説、探偵小説、架空戦記ものなど幅広いジャンルの小説を書きつつ、派手に染めた髪、奇抜なファッションでテレビのバラエティー番組などでも活躍してきた。また、1900回もの絵本の読み聞かせ公演も行ってきたが、現在は病を抱え、車椅子生活。それでも精力的に仕事を続け、夢を持って生きている。そんな志茂田さんに今の日々の取り組みについて聞いた。

81歳になっても創作意欲旺盛な志茂田景樹さん【写真:荒川祐史】
81歳になっても創作意欲旺盛な志茂田景樹さん【写真:荒川祐史】

関節リウマチと車椅子生活、それでも1日6時間仕事をする。ツイッターのフォロワーは41万1000人

 この3月に81歳になった直木賞作家の志茂田景樹さん。歴史小説、伝記小説、探偵小説、架空戦記ものなど幅広いジャンルの小説を書きつつ、派手に染めた髪、奇抜なファッションでテレビのバラエティー番組などでも活躍してきた。また、1900回もの絵本の読み聞かせ公演も行ってきたが、現在は病を抱え、車椅子生活。それでも精力的に仕事を続け、夢を持って生きている。そんな志茂田さんに今の日々の取り組みについて聞いた。(取材・構成=坂本俊夫)

 車椅子生活をしています。2017年に関節リウマチを発症し、19年5月に福島県に湯治に行ったその日、ホテルの玄関からフロントへ行く段差で後ろに転倒。救急車で病院に搬送されました。腰椎の圧迫骨折で、それ以来です。その年は健康の面で最悪の年で、秋には関節リウマチによって間質性肺炎を併発。この時も救急車。ステロイド治療は嫌で、途中から抗菌治療に切り換え、症状が緩和してきたので退院させてもらったら、2日でぶり返してまた救急車です。年に3回も救急車のお世話になりました。そんなことがあり、98年に「よい子に読み聞かせ隊」を結成して続けていた自作の絵本の読み聞かせ公演は、骨折前に決まっていた数件をこなしただけで今は休止状態です。

 それでも、家でできる仕事は途切れることはありません。関節リウマチのため疲れやすく、無理をすると悪化するので、1日6時間を上限にしています。朝起きると、ベッドで上体を起こして朝食をとり、スマホでメールをチェックしたり、ツイッターの短めのつぶやきをしたり、長くないラインブログを書いたりして過ごし、11時くらいに仕事場のパソコンの前に移ります。ぼくの今の主な活動は執筆とブログ、ツイッターなどでの発信で、ツイッターでは日々いろいろな思いをつぶやいています。

 現在、ツイッターのフォロワーは約41万1000人。若い世代のフォロワーが多く、共鳴や反発の反応が入ってきます。フォロワーの悩みや問いかけに回答することもしています。そのほか、ZOOMで取材を受けることもありますね。そんなふうにして昼間を過ごし、以前はテレビはあまり見ませんでしたが、夜はニュースや、ストレス解消のために午後8時から9時までの刑事もののドラマを見て、ベッドに入り、ラジオで音楽を聞いたりして就寝です。

ネットサーフィンなどで若者の思いを感じとる毎日

 外出は2~3か月に1度の通院と2か月に1度美容室に行く程度。以前は飲みに行くなどして外界の変化を肌で感じ取っていました。今はそれができない。それで、主に若い人たちに目を向け、ネットサーフィンをしています。ぼく自身高齢者ですから高齢化社会にも少しは興味がありますが、若い人たちの世界にはもっと強い興味がある。彼らが何を考え、何をしているのか、触手の塊みたいになって捉え、ツイッターでのやり取りも含め、若い人の中に入り込んで吸収しようと努めています。

 そうすることで、現代の若者、生まれた時からインターネット環境にあり、デジタル生活の中で育ってきた、いわゆるZ世代について、ぼくなりにいろいろ分かってきたこともあります。例えば、この世代は折り合おうとはしない。「自分はこうで、君はこう。それでいいじゃないか」という考えなのです。折り合おうとするとどこかで摩擦が起こることがありますが、それを避けたいんです。傷つきやすい世代だということですね。ですから、この世代にはうつ病が多い。

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