【欧州車紀行・北仏2】フランス初日はパリで友人とムール貝のワイン蒸しを楽しむ
バケツ一杯のムールマリニエールに舌鼓!
パリでは、バケツ一杯に盛られたムールマリニエール(ムール貝のワイン蒸し)が食べられる季節。頭の中で想像する。最初に1個食べた後、その貝殻を指でパクパクさせ、2個目からはその貝殻で、身が入った別のムール貝の身を挟んで、口の中にヒョイ、ヒョイヒョイと放り込みながら、バケツが空になるまで一心不乱に味わう……。この後に向かう、パリより寒いノルマンディーはムールの本場。今回の旅では何回、ムールを食べることができるだろうか。僕はムール貝が大好物なのだ。
モンパルナス周辺に着きえっちゃんに会うと、「ムール貝はもうやっているの?」と聞いてみる。「もうやってるわよ」とえっちゃん。ならばムール貝を食べたい。僕ら3人が落ち着いたのは、メトロの出入り口の目の前にある「LA MARINE」というビールのカフェ。最初に、フランスビールのクローネンブルグで乾杯。連れ合いのゆっちゃんはアントルコート……シンプルなステーキを。ムール好きのえっちゃんは、僕に付き合ってムールマリニエールをパクついた。ワインはシャトーPOUYANNEの白。33ユーロ、日本円で4000円ちょっとだから、そこそこのワインだ。
オートマ車を借りるには念には念を…
早速、レンタカーの話になった。えっちゃんは、最初は「大丈夫だろう」と楽観していたようだ。レンヌにあるレンタカー会社・Hertzに連絡すると、ヴェルノンまでの車なら用意できるという回答だったという。当然、予約したのはオートマ車だ。ところが、いよいよ僕らの渡仏時期が近づき再度確認してみると、別の担当者が電話に出て「確約できない」と……。「予約した時の担当者に週明け、確認してほしい」と言われ、「レンヌの営業所にはマニュアル車しかない」とピンときたという。
そこで、パリ市内のHertzのコールセンターに電話を入れ、パリ市内からならオートマ車があることを確認し、予約を入れた。ところが、やはりスタッフの対応に不安になった。
「オートマか聞いたら、『そうだ』と言うの。でも、『絶対オートマでね』と言っても、『高いよ』と返ってきたのよ。その口ぶりが信用できない感じ。凱旋門裏のサン・フェルディナン通りにあるHertzの営業所に明日、確認のために行ってみようかと思っているんだけど。オートマはお金持ちの車という感覚で、一般的にはまだまだ車、レンタカー=マニュアル車なの。そう刷り込まれているわけね。意外でしょ」
「でも、外国で運転するのに、交通ルールが逆な上に、左ハンドルのマニュアル車で運転するのは難しいよね」
翌々日(モン・サン=ミシェルに行く前日)、朝一番でHertzの営業所に行って確認することになった。
□峯田淳(みねた・あつし)1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、89年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。19年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ、17年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店、19年)など。