偉大な父・橋本真也さんのガウンは重荷なのかそれとも 破壊王二世がついに決断【vol.43】
29歳・橋本大地、今後のレスラー人生を左右する分岐点
真也さんを応援していた世代のファンは、今でも語り合うという。豪快な技、数々の名勝負、小川直也との死闘。どれも色あせない。大地についても「二世は大地しかいないのだから、お父さんのファイトスタイルを継いだ方がいい」という継承派。「いや、親子と言っても別の選手。親を意識せず独自の路線にした方が活路が開けるのでは」という独自派。「良いところは取り入れて、個性もプラスして新しいスタイルを」という折半派。皆が熱い。だが、どれが正解かは分からない。
5・30決戦で、大地は大谷と組み、大日本プロレスが誇る絶対エースコンビ、関本大介、岡林裕二組と対戦する。どう転ぼうが好勝負は間違いない。
真也さんとの思い出が改めてよみがえってきた。真也さんはサインが大好きだった。「そりゃ、正直、面倒だなって思うときもある。でも、サインは人気のバロメーター。だから『サイン下さい』って言われるの、実は好きなんだよね」と、いたずらっ子のように笑っていたものだ。
ちびっ子ファンがノートの裏を出しても、嫌な顔せず「これで勉強、頑張れるか? 今度は色紙、持って来いよ!」とニコニコしながらサイン。
女性ファンには鼻歌まじりにノリノリ。もちろん「破壊王」と入れるのも忘れなかった。ところが勢いが良すぎると、つい点まで打ってしまうことも多々あった。「破壊王」に点。「破壊玉(はかいだま)」となる。
「橋本さん『破壊だま』になっていますよ~!」と、指摘されても「わわッ! 本当だ。でもいいじゃん。細かいことは気にすんなって」と一蹴。豪快に笑い飛ばすのが常だった。
ちゃめっ気たっぷりに、わざと「破壊玉」と書いていた時期もあった。真也さんのサインを持っている方、よく見れば「破壊玉」になっているかもしれない。
となると、大地は「破壊王子」ではなく「破壊玉子(はかいたまご)」?
キャリアを重ね、入場テーマ「爆勝宣言」も板についてきた29歳の橋本大地。偉大な父とどう向き合うのか。今後のレスラー人生を左右する分岐点がやってきた。