覚醒した万能アイドル STU48兵頭葵、5歳から続ける楽器に見いだす自分だけのカラー
髪をショートにし、「アイドルとして大事なことは選抜だけじゃない」と前向きに
兵頭にとって、19年の年末から20年1月にかけては、“今の自分”の礎を築く転機となる。一つは、髪をショートにして心機一転したこと。もう一つは、全員選抜だった3rdシングル「大好きな人」を経て、4thシングル「無謀な夢は覚めることがない」で再び16人選抜に手が届かなかったことで、考え方が変わったという。
「現状が横ばいな日々が続いていたので、何か変化をつけたいと思って、中学以降はミディアムからロングだった髪を切ってみました(笑)。ショートにして邪気が払われたというか、過去の嫌なことがすべてなくなった感覚になりました。ターニングポイントで言うと、『無謀な夢は覚めることがない』で全員選抜ではなくなったとき。少し迷いはありましたけど、アイドルとして大事なことは選抜だけじゃないと気付いたんです。ファンの方に、『今までと違う兵頭葵を見せたい』と思いました」
兵頭が「自分にしかできないこと」として、可能性を見いだすのが楽器だ。姉が習っていたのがきっかけで5歳から始めたピアノは、小学6年生でやめたあとも独学で腕を磨いてきた。卓越した音感は、一度曲を聞くだけで、完璧にコピーできるほどだ。ほかにも、中学時代に吹奏楽部でクラリネットを経験し、STU48のガールズバンド「青い向日葵」ではベースにも初挑戦している。
「ピアノは最初から結構弾けて、挫折も経験せず続けていたら今に至りました(笑)。教わっていたときは週1回・1時間半くらい。基本が全部できていた小学6年生以降は、『自分で先生になって、自分で弾く』感じです。休日は自分の好きな曲を6~8時間、ずっと部屋で弾いていました。ピアノをしていたら音感がつくので、5歳の自分に感謝したいです。ピアノを習っていたメンバーはほかにもいますけど、いろんな楽器ができるというのはSTU48で自分しかいないと思っていますし、音楽のおかげで今の私がいます」
公演のパフォーマンスにおいても、兵頭の存在感は大きくなっている。岡田奈々プロデュースの「僕たちの恋の予感」公演では、今年3月で卒業した田中皓子のポジションに入り、難易度の高いAKB48のダンスナンバー「涙の表面張力」にも対応。改めて、適応の早さと引き出しの多さを証明した。
「私自身も、なんでもできると感じていて(笑)。逆に、できすぎて支えなくてもいいと思われるくらいです。いろんな人の代わりに(公演に)出られるのはいいことなんじゃないかと考え始めて、そこから極めるようになりました。もちろん自分のポジションは欲しいですけど、現実的には全ポジション制覇のほうが実現できると思っています」
STU48加入から5年目。アイドルとして進むべき道が見えてきた今、兵頭に迷いはない。
「自分の身の丈が分かって、ゆとりができたというか、活動しやすくなりました。いい意味で王道アイドルとは真逆で、キャピキャピしていない、クールな感じがいいのかなって(笑)。私はうさぎみたいに成長スピードが早くはなくて、どちらかと言えばカメ。じっくり、熟成タイプだと思います。2021年はポジティブシンキングを一番に考えていて、チャンスがあればなんでも挑戦するつもりです。ダンスも、歌も、楽器も、STU48の中でぱっと目が行く存在になれるように、唯一無二のことができるように頑張るので、応援よろしくお願いします!」
かつてとはまた違う、さらに魅力を増した兵頭が、STU48に確かな彩りを添えている。