母は日活ロマンポルノの大スター…29歳女優が表現の大胆演技「母には憧れと尊敬」

女優の行平あい佳(29)が主演映画『「アララト」誰でもない恋人たちの風景vol.3』(5月15日公開、越川道夫監督)で大胆かつ繊細な演技を披露している。同作は左半身不随のため絵を描くことをやめた夫を支える妻サキの物語。助監督から女優に転身した異色のキャリアを持つ行平が、本作や監督業への密かな思いを語った。

インタビューに応じた行平あい佳【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた行平あい佳【写真:荒川祐史】

主演映画「アララト」で半身不随のため絵を描くことをやめた夫を支える妻役

 女優の行平あい佳(29)が主演映画『「アララト」誰でもない恋人たちの風景vol.3』(5月15日公開、越川道夫監督)で大胆かつ繊細な演技を披露している。同作は左半身不随のため絵を描くことをやめた夫を支える妻サキの物語。助監督から女優に転身した異色のキャリアを持つ行平が、本作や監督業への密かな思いを語った。(取材・文=平辻哲也)

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 行平は俳優・演出家の小林宏史、日活ロマンポルノの大スター、寺島まゆみを両親に持つ新進女優。2014年に早稲田大学を卒業後、2年間フリーランスの助監督を務め、絵コンテライターを経て、女優に転身。ピンク映画の巨匠、城定秀夫監督の「私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください」(18年)では、調教の末、「奴隷」として開花するヒロインを大胆に演じた。

 主演2作目となる本作では、深夜のファミレスで働き、左半身不随の夫(荻田忠利)を支え、画家としての再起を願いながらもすれ違い、やがて職場の同僚ユキオ(春風亭喜いち※)と体の関係を結んでしまうというヒロイン、サキを演じた。

 監督は、安藤サクラ主演の「かぞくのくに」などでプロデューサーを務め、満島ひかり主演の「海辺の生と死」や井浦新&黒川芽以出演の「二十六夜待ち」など男女の機微の描写に定評のある越川道夫氏が務めた。「越川監督との企画として決まっていて、最初、好きな映画や本の話をしました。私はヤングアダルト系が好きで、森絵都さんの『つきのふね』で話が盛り上がったんです。精神的に弱い男の子と思春期を迎えて、恋を知る、人を欲することを知る、関わり合いの物語なんですが、この本をもらった時にそんな話をしたなと思い出しました」と振り返る。

 サキは行平の当て書きだ。役者としてこんなにうれしいことはないだろう。「すごく嬉しくて、もしかしたらすごく自分とリンクしているのかなと思ったら、『私ってこんな人間じゃない』っていうところから入っちゃったんですね。どうして、私から愛して支えていくという人間が出来上がったのかなって(笑)。でも、それは贅沢な悩みだなとも思いました。サキが受けたような深い愛情は体験したことがなかったですが、共通点もありました。私も物を作ったり、映画を作る人を心から尊敬できますし、作品があり続ける限り、私はその人のことが好きなんだろうと思うことが本当に多いんです」

 サキは体が不自由な夫を甲斐甲斐しく介護をするが、聖人でも女神でもない。やがて、スギちゃんとは気持ちがすれ違い、職場で優しく接してくれる男性と恋に落ちる。「サキは何かがあっても明るく生きている人。でも、心が折れちゃって、(職場の同僚の)ユキオさんも受け入れるんです。その気持ちはすごく分かりました」。題名の「アララト」は旧約聖書でノアの方舟が大洪水の末にたどり着いたトルコの山のことを指す。「これは、救済の物語なんだと思いました。一瞬、サキが救いの手を差し伸べる女神的な存在に見えたらいいなと思いましたね」

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