高級食パン「銀座に志かわ」が100店舗達成 仕掛け人に聞く急成長の理由と開発秘話

二斤で税込み864円の「銀座に志かわ」【写真:ENCOUNT編集部】
二斤で税込み864円の「銀座に志かわ」【写真:ENCOUNT編集部】

実は水以外にもこだわっている原材料

――なるほど。ではここまで2年7か月やってきて、一番驚いたことはなんですか?

「開店初日の驚きとは別に、35都道府県で出店することができた。ひと口に35都道府県とはいっても、北は北海道、南は沖縄まで店舗を出すことができたのは驚くしかないですよね。しかも日本全国どこに行っても、皆さんにおいしい食パンだと知ってもらっていること。それと、みんなが待ってくれているんですね。どこに行っても、やっと来てくれたと言ってくれます。ポスティングしても喜んでもらってくれますしね。それがうれしいし、真摯(しんし)にやってきたことが伝わっている手応えは感じます」

――出店していく中で一番大変だったエリアはありますか?

「やっぱり関西地区じゃないですかね。やっぱり高級パンの発祥は『乃が美』さんの拠点でもある関西ですから。巨人VS阪神じゃないですけど、やっぱりそこは地元びいきがありますからね」

――ちなみに高橋社長は、東海地方を中心にした513(コイサン)ベーカリーの社長でもありますね。

「そうですね」

――そこに、今度は「水にこだわる」というカタチで「銀座に志かわ」が誕生しました。

「水にこだわる高級食パンが『銀座に志かわ』なんですけど、仕込み水にアルカリイオン水を使っています。実はベーカリーの業界にある教科書には『弱酸性の水を使うことがパン作りには向いている』と書かれています」

――それがパン作りの教科書なんですね。

「そうです。そこを『銀座に志かわ』では教科書の真逆、もしくは教科書に書いてあることを疑うことからスタートしたパン作りをしてみようと。ベーカリー業界では、高級食パンは『生食パン』と言われるんですけど、『銀座に志かわ』に限っては生食パンではなく、『水にこだわる高級食パン』というのを展開してきました。そういう点ではベーカリーのプロのコイサンズと、水のプロであるOSGコーポレーションさんが一緒に作ったのが『銀座に志かわ』になります。お互いのプロがコラボすることによってできたんですよね。他社との違いがあるとすれば、その点でしょうね」

――アルカリイオン水を使うことによって何が変わるんでしょうか?

「仕込み水にアルカリイオン水を使うことによって、耳も柔らかく食べられる食パンになります。だから口に入れたときに、非常に上品な甘さが広がる。これは原材料にカナダ産の最高級の小麦粉、バター100%、生クリームは北海道産の生クリーム、それと隠し味ではちみつと。原材料にも超一流の原材料を使ってはいるんですけど、それがアルカリイオン水を仕込みに使用することでうまみ成分を引き出した結果、今の味につながっている。だから、こだわりはもちろん『水』なんですけど、それ以外も決して手を抜いているわけではなく、超一流の原材料を使っているんですよね」

――確かに通常なら感じる、食パンの耳、という感覚はありませんね。

「だいたい食パンは耳が残るんです。あるいはジャムやバターを塗って食べるか、ハムや卵、野菜を挟んで食べてきた。今までは、食パンだけの味を楽しむパンではなかったと思う。それが『銀座に志かわ』はちぎってどんどん食べていける食パンなんですよね。何もつけなくとも美味しく食べられる。ケーキのように食べられるパンと言っても差し支えないと思います。そこが新しいジャンルになっているんじゃないですかね」

――これも素朴な質問ですけど、そもそも高級食パンが話題になり始めたのはいつ頃からなんでしょうか?

「高級食パンがブームと言われるんですけど、2013年からセブンイレブンで『金の食パン』が登場して、同じような時期に関西からは『乃が美』さんが出店を始めて、もう8年目に入っていますね」

――2013年からなんですね。

「そうなんですよ。そこから8年経って、僕らとしては一時期のブームではなく、もう文化になっていると思っています。新しい食文化」

――一過性のブームではないということですね。

「ええ。それもあって今年から4月8日を『高級食パン文化の日』として記念日協会に登録をさせてもらったんですね。そして4月8日~5月9日までを高級食パン文化月間(「4(食)」と「8(パン)」、「5(ごう)」と「9(きゅう)」=高級、の語呂合わせに由来)として、日本人にとっては新しい食文化として定着させたいと思っています」

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