出産を機に再びムエタイの世界へ 元女子世界王者の激動半生とインストラクターの今

現在は「ワイクルーフィット」のインストラクターとして活動する【写真:荒川祐史】
現在は「ワイクルーフィット」のインストラクターとして活動する【写真:荒川祐史】

まさかのデビュー戦を白星で飾ると、それまで優しかった父が一変

 辛くもデビュー戦を白星で飾ると、すぐさま対戦のオファーが殺到。引くに引けない状態となり、本格的にムエタイに打ち込むことになったが、ジムの看板を背負って試合に出るとなった途端、父の指導も一変したという。

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「あんなに優しかったパパが、いきなり鬼コーチになっちゃった(笑)。一人娘で大事に育てられてきたのに、大人になってから急に親に怒られるようになって、ストレスで難聴になったり不眠症になったり……。でも、やってるうちに結果がついてきて、気づけばどんどんムエタイが好きになってた」

 24歳で初タイトルを獲得、生涯戦績は堂々の20戦18勝1敗1分で、27歳で現役を引退。その後、大手フィットネスクラブから、ムエタイの試合前に行う儀式「ワイクルー」をフィットネスとしてプロデュースできないかという話を持ちかけられ、快諾。結婚し2児の母となった今は、伝統と新しさを融合した「ワイクルーフィット」を通じ、ムエタイの世界的な知名度向上に務める。

「出産後、育児にかかりっきりだったとき、赤ちゃんを見ながらできる運動にワイクルーがピッタリだった。キックボクシングをやってる産婦人科の知り合いから産後のケアにもいいと聞いて、これはいいなと。今は自分が親になって、試合に出るのに反対していた父や母の気持ちもよく分かる。将来子どもにムエタイをやらせるか? うーん、本人次第ですが、やりたいと言うならやらせてあげるかな。私自身、親にはやりたいことをかなえてもらったので」

 父と娘、親子で歩んだチャンピオンへの道。グローブを置いた今もムエタイへの感謝の思いは変わらない。

□RIKA(りか、リングネーム=リカ・トングライセーン) 1988年8月20日、タイ・バンコク出身。16歳のとき、センチャイムエタイジムでムエタイを始め、22歳でプロデビュー。ムエタイウォーリアーズ女子ライトフライ級チャンピオン、WMCムエタイ女子ライトフライ級チャンピオン、サワンベガスワンデートーナメント優勝、WBC女子アジアライトフライ級チャンピオン(ボクシング)、WBCアジア女子MVPなど多数のタイトルを獲得。2015年に現役引退、生涯戦績は20戦18勝1敗1分。20年に「ワイクルーフィット」の開発を監修、現在はインストラクターとして活動を続ける。

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