【プロレスこの一年♯44】蝶野正洋とnWo、小川直也プロレスデビュー 桜庭「プロレスラーは強い」 97年プロレス
ベストバウトに輝いた武道館での三沢と小橋の三冠戦
また、全日本では、10・21武道館での三冠ヘビー級王座戦、三沢VS小橋がこの年のベストバウトに輝く激闘になった。10日前の10月11日、第1回PRIDEの東京ドームで高田延彦VSヒクソン・グレイシーが実現するも、高田が完敗。大きな失望のなかで、三沢VS小橋の戦い(三沢が防衛)はプロレスファンに大きな希望を与える一戦となったのである。さらに、UFC12・21横浜アリーナでは桜庭和志がマーカス・コナンを破り、日本人プロレスラーとして初めてとなる総合格闘技でのヘビー級トーナメント優勝。試合後、桜庭はマイクを取り「プロレスラーは本当は強いんです!」とアピール。その後の大ブレークへとつながっていく。
この年は、女子プロレスの老舗である全日本女子が大揺れ。8・20武道館でアジャ・コング、井上京子、府川由美の退団が明らかになり、多くの選手が追随。10月21日には事実上の倒産が発表された。が、堀田祐美子をはじめとする残された選手で興行は継続。10・26後楽園にはGAEA JAPANを退団した北斗晶が古巣に登場。退団派はアジャ中心のアルシオンと京子中心のネオ・レディースに分裂。2つの新団体は翌年の旗揚げを発表した。女子ではFMWの邪道姫こと工藤めぐみが4・29横浜アリーナにおけるノーロープ有刺鉄線電流爆破バリケードダブルヘルデスマッチでシャーク土屋を相手に壮絶な引退。JWP8・15広島での試合中に意識を失ったプラム麻里子が、翌16日に死去。日本初のリング禍による死亡事故という悲しいニュースとなった。
10月10日には、みちのくプロレスが2年連続の両国国技館大会を開催。メインはサスケ VS TAKAみちのくの師弟対決で、サスケが勝利。敗れたTAKAはその後アメリカWWFに移籍し、12月7日、新設されたWWF世界ライトヘビー級王座を奪取、初代王者となった。両国ではジ・アンダーテイカーが登場し、新崎人生とまさかの一騎打ちをおこなっている。(文中敬称略)