【プロレスこの一年♯43】武藤とムタで4冠達成 佐々木健介が史上初のメジャー3大タイトル制覇 08年のプロレス

GHCヘビー級王座を戴冠し、NOAH入団も果たした武藤敬司。4・29名古屋では、マサ斎藤のリングネームや必殺技を引き継ぐマサ北宮を相手に2度目の防衛戦が決まっている。キャリア36年で現在58歳の大ベテランだが、衰え知らずどころか、そのカリスマ性はますます高まっていると言っていい。2021年のMVP的活躍は確実だろう。過去には何度も“狂い咲き”の年があり、今から13年前の2008年(平成20年)も、武藤のばく進が見られた年だった。この年は、新日本、全日本、NOAHの交流が活発化し、ベテラン勢が再び脚光を浴びる傾向が顕著でもあった。今回は武藤を中心に、08年のプロレス界を振り返る。

IWGP王者の武藤と三冠王者の諏訪魔がタッグを結成(写真は2008年5月)【写真:平工幸雄】
IWGP王者の武藤と三冠王者の諏訪魔がタッグを結成(写真は2008年5月)【写真:平工幸雄】

新日本&全日本&NOAHの交流が活性化

 GHCヘビー級王座を戴冠し、NOAH入団も果たした武藤敬司。4・29名古屋では、マサ斎藤のリングネームや必殺技を引き継ぐマサ北宮を相手に2度目の防衛戦が決まっている。キャリア36年で現在58歳の大ベテランだが、衰え知らずどころか、そのカリスマ性はますます高まっていると言っていい。2021年のMVP的活躍は確実だろう。過去には何度も“狂い咲き”の年があり、今から13年前の2008年(平成20年)も、武藤のばく進が見られた年だった。この年は、新日本、全日本、NOAHの交流が活発化し、ベテラン勢が再び脚光を浴びる傾向が顕著でもあった。今回は武藤を中心に、08年のプロレス界を振り返る。

 武藤に何度目かの大ブレーク。それを予感させたのは、全日本所属から参戦した古巣・新日本の1・4東京ドームだった。このときは化身のグレート・ムタが登場、新日本への降臨は7年8か月ぶりで、後藤洋央紀に勝利。メインでは、棚橋弘至を破った中邑真輔が4年ぶりにIWGPヘビー級王座を奪回した。中邑は、1・17両国でカート・アングルを破り、IWGPヘビー級王座のベルトを統一。前年、IGFのリングでブロック・レスナーからアングルに授与されてしまったベルト問題に、リング上で決着をつけたのである。

 武藤はホームリングの全日本に新日本のエース棚橋を呼び込みタッグを結成、3・1両国で川田利明&太陽ケア組と対戦し、勝利を収めた。一方、新日本の王者・中邑はZERO・1 MAX3・2後楽園に参戦し、橋本真也の功績を称える「破壊王メモリアルマッチ」に登場、佐藤耕平を破ってみせると、橋本の息子・大地に橋本が巻いていた当時の2代目IWGPベルトを返還した。中邑が他団体に参戦したのは、この試合が初めてだった。中邑は3・30後楽園で棚橋を返り討ちにし、IWGPヘビー級王座を防衛。棚橋は全日本の「チャンピオン・カーニバル」にエントリーし、決勝戦に進出した。決勝戦は後楽園5連戦最終日の4・9後楽園で、棚橋を破った諏訪魔が初優勝を達成した。新日本4・12後楽園では、闘龍門から移籍の岡田かずちかが、石狩太一を相手に再デビュー戦を行っている。

 再び武藤が古巣・新日本のマットに登場し、IWGPヘビー級王座に挑戦。4・27大阪で中邑と対戦し、8年4か月ぶりにIWGPヘビー級王者に返り咲いた。その2日後、全日本の名古屋では諏訪魔が佐々木健介を破って三冠ヘビー級王座を奪取。キャリア3年半での獲得は、三冠史上最短奪取の記録となった。

 5・11後楽園ではIWGP王者・武藤&三冠王者・諏訪魔というタッグチームが誕生。両王座のチャンピオンがタッグを組むのは、これが史上初の出来事であった。しかし、試合に勝ったのはGURENTAIの鈴木みのる&ケア組である。その鈴木はデビュー20周年記念大会を6月17日に後楽園ホールで開催、かつて幾度となく苦汁をなめさせられたモーリス・スミスと14年ぶりに再会し、エキシビションマッチで対戦した。この日のメインでは鈴木が盟友・高山善廣と一騎打ちを行い、勝利で記念大会を飾っている。

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