――ここ数年でLGBTに対する世間の目は変わったか。

「世間の目とかマジでどうでもいいわよ（笑）。もちろん、ゲイを理由に解雇されるとか、不利益を被るとか、法とか権利に関わる部分が認められるべきよ。でも、個人の好き嫌いに関してはどうしようもない。私だってゲイの中にも嫌いなやつ、距離を置きたいやつはいるし、私のことを嫌いなやつだってもちろんいる。生理的嫌悪感っていったって感じるものは仕方ないし、そういうところまで『差別はやめましょう』っていう方が差別よね。女性が苦手、男性が苦手っていうことは差別って言われないんだから」

――とはいえ、セクシャリティーに関わる部分で傷ついている人もいる。

「中にはいるでしょうね。でも、声をあげてるのはその人たちじゃないんじゃない？　だってそれで傷つく人は目立ちたくないもの。マイノリティーは、マイノリティーだからって理由で特別扱いされたくない。でも『LGBTへの差別をやめよう』と運動することは、ハゲていたり太っていたり、人の数だけあるコンプレックスの中で、LGBTだけを特別扱いすることじゃない。『差別はやめましょう』と声をあげる人に限って、マイノリティー側ではないことが多いのよ」

――では、この先社会はどう変わっていくべきだと思うか。

「『LGBT』なんてくくりがまずいらない。あなたはあなた、私は私っていう見方。血液型くらいの感覚でいいのよ。中には『B型が嫌い』っていうやつがいても、それで傷つく人はいないでしょ？　自分が自分の在り方に悩んでいるのであって、他人から言われたことはきっかけに過ぎない。それで相手に配慮を求めるのは違んじゃない？　いちいち気になるのなら、気にする自分を変えればいいのよ。人の好き嫌いにどうこう言っても仕方ないし、他人を変えさせるより自分が変わる方がずっと簡単なんだから」

――どうすればそんなに強く生きられるのか。

「自分が強いなんて思ってないし、そもそも強い弱いという概念で生きてない。むしろ勝手に強いですよねというイメージで来られるのが面倒だし、そういう人の一面しか見られない人から『人として見られてないな』と感じるのよね。でも、世の中いろんな考えの人がいるんだなというのは、SNSで発信を始めてみてより一層感じた。セクシャリティーに限らず、こんだけいろんな人がいるんだからいろんな考えがあって当然。それを正しいとか間違ってるとか、こうあるべきとか押し付けないでほしいわよ。他人は他人、私は私。難しく考えず、血液型の違いくらいに考えとけばいいんじゃない？」

■カマたく　1988年12月17日生まれ、福島県出身。新宿・歌舞伎町のゲイバー｢CRAZE｣で働く、“歌舞伎町イチ癖がすごいゲイバー店員”。ツイッターに投稿する動画がたびたび拡散され、フォロワー数は126万人を超える。著書「頑張らなくても意外と死なないからざっくり生きてこ」、「お前のために生きてないから大丈夫です」（いずれもKADOKAWA）が発売中。