球団チアは踊るだけ? 「ファンの皆さんと選手をつなぐ」ために日々奮闘

オープニングからパフォーマンスでスタンドを盛り上げる。【写真:安藤かなみ】
オープニングからパフォーマンスでスタンドを盛り上げる。【写真:安藤かなみ】

踊るだけじゃない。多岐に渡る球団公式チアの活動

 試合開始2時間半前。開場まで残り30分に迫ってくると、インスタグラムでのライブ配信本番がスタート。ASUKAはリハーサル通り進行を担当し、時には配信に寄せられたコメントも読み上げながら盛り上げていく。配信が終わると、その足でゲートに向かい、ウエルカムグリーティングで入場するファンをお出迎え。マスク越しでも分かる彼女たちの笑顔に、言葉を交わせない代わりに手を振って応えるファンも多く見られた。

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 試合開始30分前にはグラウンドでオープニングダンスを披露し、プレイボールに向けスタンドを盛り上げる。その後もスタメンの送り出し、5回終了後、ラッキーセブンなどイニング間のイベントを華やかに演出。広いスタジアムの隅々まで目線を送り、エネルギッシュなパフォーマンスでチームを後押しした。

私服姿もキュートなASUKA。趣味はネイルアートで、リフレッシュ方法はたくさん寝ること。【写真:安藤かなみ】
私服姿もキュートなASUKA。趣味はネイルアートで、リフレッシュ方法はたくさん寝ること。【写真:安藤かなみ】

今の夢は? 「マリーンズファンを1人でも多く増やすきっかけになる存在になること」

 1日密着して分かったことは、グラウンドでのパフォーマンス以外の時間も、ライブ配信やグリーティングを通じて、彼女たちは常にファンのことを身近に感じながら動き続けているということだ。ASUKAは「私たちはファンの皆さんと選手をつなぐ存在。エンタメの部分はもちろん、皆で一緒に一丸となって勝利をつかむためにその間に立つ役割を担っていると思います」と胸を張る。

 ASUKAを始め、メンバーの多くが球団が運営するキッズダンススクール「マリーンズ・ダンスアカデミー(MDA)」の出身だ。M☆Splash!!現役メンバーやOGがインストラクターを務めるスクールで、生徒にとってM☆Splash!!のメンバーは憧れの存在。デビューから7年を数えるASUKAも「レッスンの時の先生が実際にステージやグラウンドで踊る姿を見て、『自分もこんな風に格好よく踊りたい』と憧れを持っていました」と目を輝かせる。

 念願かなってM☆Splash!!のメンバーになったASUKAは「今度は自分が憧れられるような存在になろう」と強く決意し、精力的に活動を続けている。チームが本拠地を置く千葉県のイベントに出演することも多く、「イベント先で出会ったマリーンズのことを知らない人たちが、私たちをきっかけにマリーンズを好きになってくれて、ステージを見に来てくれることもあります。そうやって新しいファンを増やして行けるきっかけを作れた瞬間は、やっていてよかったなと感じます」とやりがいに誇りを持っているという。

 ただ、スポーツ興行にとって新型コロナウイルスの影響は甚大で、昨季は無観客での試合も経験した。ASUKAは「マリーンズは日本一と言われるくらいの応援が有名ですが、今は声を出しての応援ができません。正直、私も寂しいです」と肩を落とした一方で、ファンとの距離を埋めるために慣れないライブ配信にも積極的に挑戦。コロナ禍にあって直接来場できないファンにも、画面越しで精一杯の笑顔を届け続けた。観客がスタジアムに戻ると、改めてスタンドとグラウンドの一体感を実感した。

「試合や勝利を重ねるたび、マリーンズファンの気持ちはどこにいてもつながっていると思いました。私たちも、その間でしっかりと役割を果たせていけたら」

 長いシーズン中には6連戦が組まれることもあり、選手同様にチアも1年間を戦い抜くための体調管理にも気を配る。ASUKAは「お風呂にゆっくり漬かって、自分の身体をマッサージして、たくさん寝るのが一番のリフレッシュ法です」とにっこり。「海外ドラマにはまっていて、出てくる場所やおいしい食べ物を見て癒されています。もともと旅行が好きですが、今はなかなか行くことができないので。『次はここに行こう』と決めて、SNSで調べたりしていますね」とリフレッシュ法も教えてくれた。

 そんなASUKAにとって今の夢は「マリーンズファンを1人でも多く増やすきっかけになる存在になること」とだと言う。グラウンドの華=ダンスパフォーマンスだけではない、球団チアの世界。ライブ配信やSNS、イベント出演を通して、球団の魅力を広く発信、勝利に貢献することも彼女たちの大切な役割だ。ASUKAは「マリーンズを応援するファンを1人でも多く増やしていくこと。そしてマリーンズの優勝、日本一の喜びを皆さんと分かち合いたいです」と声を弾ませ、「私たちM☆Splash!!は来ていただいた皆さんに、勝っても負けても『球場にきてよかった』と思ってもらえるようにこれからも一丸となってパフォーマンスしていきます。ぜひZOZOマリンスタジアムも足を運んでほしいです」と最後まで笑顔でアピールしていた。

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