第70回紅白歌合戦取材の舞台ウラ 増えた写真撮影NG、こんなに違う今と10年前 

第70回NHK紅白歌合戦のリハーサルが30日、終了した。ネット媒体の数が飛躍的に増え、当時の10倍近い規模に。取材禁止、写真NG、新ルールも多く、戸惑いが多かった取材の裏側でベテラン記者が感じたこととは……。

30日にはリハーサルで出演者の顔合わせが行われた【写真:山口比佐夫】
30日にはリハーサルで出演者の顔合わせが行われた【写真:山口比佐夫】

10年で紅白歌合戦の取材風景は様変わり、いったい何が…

 第70回NHK紅白歌合戦のリハーサルが30日、終了した。スポーツ新聞時代、放送担当記者だった私が取材したのは約10年ぶり。その取材態勢の変わり様には驚いた。最も多くの出場歌手が参加した29日のリハーサルの取材人数は300人以上。ネット媒体の数が飛躍的に増え、当時の10倍近い規模になっている。取材禁止、写真NG、新ルールも多く、戸惑いが多かった。その取材の裏側で感じたこととは……。

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 今年の紅白のリハーサル取材は28日から30日の3日間(31日昼もリハはある)。取材エリアは会場のNHKホール。1階にはフォトエリアを中心に、多数のカメラマンが陣取っていた。まずは人の多さに戸惑った。そんな中、古株の記者も見かけて、ホッ。「すごい人で驚いたでしょ」と言われ、大きく頷く。

 30日のリハスケジュールを見ると、26あるリハのうち、16がステージ撮影NGだ。ほかにも、歌手によってはリハ見学禁止、囲み取材なしもあって、記者としては歯がゆい。それには、増えたメディアに対処するための物理的な問題、演出上の都合、アーティスト側の意向……さまざまな要因があるのだろう。10年前ももちろん、そういうアーティストはいたが、むしろ例外的な存在だった(サプライズを本番に取っておきたい、という気持ちも分かるが)。

 最後に取材したのは思い出せないが、小林幸子さんと美川憲一さんの豪華衣装対決がスポーツ紙を賑わせていた頃だ。特に、小林幸子さんの、もはや衣装とは呼べない舞台装置「メガ幸子」(2009年)は印象深い。過去記事を見ると、メガ幸子の大きさは高さ約9メートル、重さ5トンとある(笑)。よくもまあ、こんなすごいことを考えたものだ。

 紅白に出場するのは、歌手にとって最大級の名誉。だからこそ、出場歌手たちは衣装に破格の金をかけるが、小林さん、美川さんの気合ぶりは半端なかった。美川さんにしても、身につける宝石はすべて本物。その額は億と言われたが、美川さんは「借金をしてでも、宝石にお金をかけた」と話されていた。そんな歌手たちの本気度を競うのが紅白だったので、取材側も気合を入れて少ない人員を総動員したものだ。

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