月9「朝顔」に続き「角瓶」CMソングが話題 宇多田ヒカルも絶賛した折坂悠太の“原点”

幼少期をロシアやイランで過ごしたという【写真:荒川祐史】
幼少期をロシアやイランで過ごしたという【写真:荒川祐史】

2013年からギター弾き語りでライブ活動を開始、独特な伸びやかな声で注目

 13年からギター弾き語りでライブ活動を開始し、18年にリリースした2ndアルバム「平成」がCDショップ大賞を受賞するなど注目を集めた。独特な伸びやかな声には折坂ファンを公言するアーティストや俳優も多く、宇多田ヒカルも、折坂の「あさま」を聴いて、衝撃を受けたとインタビューで答えている。折坂は、石橋静河が出演するCM「サントリー天然水」でも、「さびしさ」が抜てきされた。このCMも、かつては宇多田が出演、歌唱も担当しており、浅からぬ縁がある。

「『あさま』はフリースクール時代の夏の思い出を題材にしました。自分とまったく同じ体験をしているわけじゃなくても、あそこで歌っているような出来事は誰にもあるのかもしれません。宇多田さんが言ってくださったのは1回だけなんですけど、何回も自慢させてもらっているので、そろそろ、あきれられているかも。もうあまり言わないようにしようと思っています」と笑う。

 アマチュア時代は、自身の身の回りに起こったことを題材にしてきたが、最近では、ドラマ「朝顔」での主題歌書き下ろし、仲野大賀主演の映画「泣く子はいねぇが」の主題歌「春」、劇伴担当などの仕事も増え、曲作りにも変化が現れている。

「普段なら、自分がOKを出すだけですが、『朝顔』ではドラマサイドとのすり合わせもあって大変でした。主題歌の『朝顔』は絵と合わさって、飛び出してくるというか、ドラマと対をなす言葉で作らないといけなかったんです。たぶん、自分1人で作っていたら、“ここに願う、願う、願う”というサビのフレーズもできなかったと思います。(第2シーズンの挿入歌の)『鶫(つぐみ)』も半年くらいかけて作りました。ミニアルバム『朝顔』の歌の歌詞は素直な言葉でつづっています」

 折坂の曲には豊かな物語性が指摘されているが、音楽活動の前にはシナリオライターを志していた時期もあった。「年に1度、演劇の脚本を書くというのがきっかけだったんですけども、音楽の道に進んでいったんです。でも、こうして物語に音楽をつける仕事をすると、以前の経験が役に立っている部分はありますね」

 曲作りはどんな風に行うのか。「最初にメロディーができて、歌詞をつけます。昔はもっと自然に出てきた気もするんです。今はよく考えないと、出てこない。無理やり絞り出してくるんです。その言葉の中に、その時、自分が思っていること、周りの風景みたいなものが反映されているように思えます。以前通っていたフリースクールには、今もよく顔を出しています。ここで練習もしますし、僕にとっては実家みたいな場所です」

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