【プロレスこの一年 ♯41】「橋本真也負けたら即引退」の衝撃 全日本の分裂とNOAH旗揚げ 00年のプロレス
鶴田の死 全日本の分裂、そしてNOAH旗揚げ
全日本から分裂したNOAHは、8・5&6ディファ有明2連戦で旗揚げ。初日のメインは三沢光晴&田上明組VS小橋建太&秋山準組で、小橋&秋山組が3本勝負の2―0でストレート勝利、2日目には秋山が小橋からシングル初勝利を挙げた。秋山が、旗揚げ2連戦の主役になったのである。しかし、12・23有明コロシアムのメインでは、この年の全日本チャンピオン・カーニバルを制した小橋が秋山に雪辱。また、杉浦貴がデビューしたのが、この大会である。
NOAHが全日本時代からのプロレスの本道を貫く一方で、プロレス界に総合格闘技がより深い形で侵攻したのもこの年である。PRIDE1・30東京ドームでは、高田延彦がホイス・グレイシーに判定で敗れ、新日本を1月31日付けで退団する藤田和之が初参戦し、ハンス・ナイマンに勝った。リングス2・26武道館では、田村潔司がトーナメント準決勝でヘンゾ・グレイシーと対戦し、判定勝ちを収めた。5月1日、PRIDEの東京ドームにて桜庭和志がホイス・グレイシーと90分の死闘、最後はセコンドのタオル投入によるTKO勝ちで、プロレスファンの溜飲を下げた。同大会では藤田もマーク・ケアーに判定勝ち。しかし、コロシアム2000の5・26東京ドームでは船木誠勝がヒクソン・グレイシーに敗れ引退を決意。ヒクソン戦がラストマッチとなり、12月4日のパンクラス武道館で引退セレモニーを行った。PRIDE8・25西武ドームでは、石澤常光(ケンドー・カシン)がハイアン・グレイシーにKO負け。桜庭がヘンゾ、藤田がケン・シャムロックに勝利した。10月31日のPRIDE大阪城ホールにはSPWFの谷津嘉章が総合初挑戦も、ゲーリー・グッドリッジに敗れている。
21世紀目前の12月31日には、アントニオ猪木主催による「ミレニアム・ファイティング・アーツ・イノキ・ボンバイエ」が大阪ドームで“世紀またぎ”の開催。プロレスと格闘技の融合をテーマとする大会で、猪木はヘンゾと3分間のエキシビションマッチを行った。また、橋本がグッドリッジに逆エビ固めで勝利すれば、小川は安田忠夫にスリーパーホールドによるレフェリーストップ勝ち。高田&武藤組が実現し、シャムロック&ドン・フライ組を破った。ちなみに、武藤がスキンヘッドを初披露したのがこの大会である。
インディーでは、みちのくプロレスが「SUPER J-CUP 3rd STAGE」を主催。4・1仙台、4・9両国でトーナメントを行い、新日本の獣神サンダー・ライガーが闘龍門のCIMAを破り2連覇を達成した。
女子ではGAEA JAPANが5月14日、有明コロシアムで5周年記念大会を開催。
クラッシュギャルズの長与千種とライオネス飛鳥が11年ぶりにコンビを復活させ、“クラッシュ2000”が始動した。5月24日には全日本女子から高橋奈苗、納見佳容、脇澤美穂、中西百重による4人組ユニット「キッスの世界」がCDデビュー。つんくプロデュースによる「バクバクkiss」をリリースした。LLPW7・2ディファ有明には天龍が参戦し、神取忍と男対女の一騎打ち。天龍の容赦ないグーパンチにより神取の顔面がボコボコに腫れ上がった。なお、古巣・全日本の所属となった天龍は、10・28武道館で川田を破りトーナメント優勝、11年ぶりに三冠ヘビー級王者に返り咲いた。
天龍のライバルだったジャンボ鶴田が5月13日、肝臓移植手術中に49歳で死去。4月19日には新日本の福田雅一が急性硬膜下血腫のため帰らぬ人となった。享年27歳の若さだった。また、ガンを告白していた新日本の西村修が病を克服、藤波を相手に1年10ヵ月ぶりの復帰戦を行ったのも、この年(6・2武道館)の出来事だった。(文中敬称略)