YouTubeは小学生の夢ずかん 人気YouTuberが感じた子どもたちの変化
「YouTuberになるから学校で勉強しなくていいや」と思わないで
講演会では、2人がそれぞれの考え方を交えながら子どもたちにYouTubeの実情を説明した。プロゲーマーとしても活躍する西澤は「テレビゲームをやって遊んでいる子もたくさんいて、YouTuberやプロゲーマーを仕事にできたらラクだな、楽しいだろうなというのもあると思います」と話す。
風次は「例えば、ゲームで頂点を極める才能があるかもしれない。でも『YouTuberになるから学校で勉強しなくてもいいや』という考えでは結局自分の首を絞めることになってしまう」と学校の重要性を力説。「ゲーム配信をやるにしても、しゃべるための力が必要。ちゃんとしゃべれなかったら『何を言っているかわからない』と見てもらえなくなる。動画に学歴は関係ないという人もいるけれど、それは宝くじを当てるくらい難しいことなんです」と学校学習の大切さを説いた。
ほかにも「YouTuberになるには」という基本から、収入の仕組みや苦労したことなど、華やかな面ではなくいわゆる“影”の部分も時間をかけて丁寧に説明。講義を終えた2人に小学生の反応を聞いてみると「みんな真面目に聞いてくれました。僕らが説明するまでもなく、みんな結構(YouTuberの仕組みを)分かっていましたね」と驚いていた。
YouTuberを見ることで“好きなもの”を探す小学生たち
子どもたちがYouTubeに親しむ今、何を思うのか。風次は「僕らが小さい頃は勉強をして大学に行って、いい会社に勤めることが主軸でした。今はYouTubeを通じて、YouTuberを含めたさまざまな職業を見ることができる。そういうことを学ぼうという気持ちがすでにあるのかなと感じました」と小学生とYouTubeの関係性について自身の考えを明かす。
「そういう意味でも、『なりたいこと』を小学生から探し出す時代になっているのかもしれないですね。YouTubeを見ることで好きなものを小学生から探すことができて、『好き』と思ったことを仕事にできてしまう時代でもあります。小学生の立ち位置や、考えていることも変わってきているんだなと感じました」。
実際、「裏切りマンキーコング」の2人も子どものころから芸人を目指していたわけではなかったという。風次は祖父が料亭で働く料理人だったことから料理人を目指し、競馬ゲームにのめり込んでいた西澤は騎手になることを夢見ていた。小学生にとって身近な環境が「将来の夢」の形成に大きな影響を与えることは多いが、今の小学生は“YouTubeが映す世界”を身近な環境として捉えていると2人は考えている。
冒頭に紹介した第一生命保険による「大人になったらなりたいもの」調査に話を戻すと、「YouTuber/動画投稿者」の項目は中学生男子では3位(5.7%)、高校生男子では7位(2.9%)と徐々に順位を落としている。年齢を重ねるにつれて社会との関わり合いが増え、さまざまな職業への理解が進み、選択肢が広がっていくことが背景にあるのではないだろうか。
子どもたちにとって縁遠かった職業にもYouTubeを通じリーチしやすくなった今の時代では、YouTuberはあくまでも夢を見つけるきっかけに過ぎないのかもしれない。2人は子どもたちに対して「好きなものを伸ばし、知識を付けることはものすごく大事」と最後まで力強く語りかけていた。