福田麻由子が明かす“子役出身”女優の悩み「ありがたい環境だが、私はからっぽなんじゃないか」
女優の福田麻由子(26)が映画「グッドバイ」(4月3日公開)に主演する。本作は、是枝裕和監督の元で映像制作を学んだ今年24歳の新鋭の女性監督、宮崎彩のデビュー作。会社員を辞めて、臨時の保育士となったヒロイン・さくらが人生や家族を見つめ直すストーリー。4歳から子役として活躍してきた福田だが、撮影当時の3年前は役者として悩んでいる時期だったと明かす。
主演映画「グッドバイ」が4月3日公開、会社員を辞めた臨時の保育士役
女優の福田麻由子(26)が映画「グッドバイ」(4月3日公開)に主演する。本作は、是枝裕和監督の元で映像制作を学んだ今年24歳の新鋭の女性監督、宮崎彩のデビュー作。会社員を辞めて、臨時の保育士となったヒロイン・さくらが人生や家族を見つめ直すストーリー。4歳から子役として活躍してきた福田だが、撮影当時の3年前は役者として悩んでいる時期だったと明かす。(取材・文=平辻哲也)
近年はNHK連続テレビ小説「スカーレット」や映画「蒲田前奏曲」などに出演し活躍してきた福田。第15回大阪アジアン映画祭に出品され、高い評価を受けた本作は3年前、宮崎監督からの熱烈オファーを受け、出演を決めた。
「お話をいただいた時は23歳。私自身、すごく迷っていた時期だったんです。そんな時に1つ年下の監督がゼロから映画を作りたい、と。その期待に応えられる自信がなかった。ただ、あっさり断るのも失礼だなと思い、お会いしてお話を伺いました。監督の宮崎さんはものすごい熱量で、『当て書きしたので、ぜひやってほしい』と言われ、すごくうれしかったですし、これはもうやるしかないと思いました」
ヒロインのさくらは会社を退職し、友人の頼みを受け、一時働くことになった保育園で、保護者の新藤(池上幸平)と出会い、その姿に幼い頃から離れて暮らしていた父親(吉家章人)の姿を重ねていく……。悩むヒロインの姿は自分にも通じるものがあったという。「私自身は仕事をやめるという選択肢はなかったのですが、本当にいい役者とは何か、自分はどんな人になりたいのか悩んでいて。物心がついたときからこの仕事をしてきて、大人になった今、自分が何を持って、何を捨てて生きるべきか、選べなかったんです」
4歳の時に児童劇団に入り、CMで芸能界デビュー。「女王の教室」や「白夜行」などのドラマ出演で注目を集めた。子役から順調にステップアップしていったように見えるが、福田自身にはそうではなかった。「ある意味、順調であることに危機感を覚えていたのかもしれません。役者さんって、高校生から上京してきている人も多いのですが、その人たちがゼロから道を切り開き、自分でつかみ取っていく様を見たときに、私はありがたい環境にいるけれど、からっぽなんじゃないかと思ったんです」
撮影は3週間。子役や実際の保育園児とも共演した。「(メインキャストの)愛ちゃんは実際役者さんだったので、勝手にシンパシーを感じ、思うところはありました。子役をやっている時は、自分だけにしか見えていない景色があると感じていて、(大人の世界の中で)孤独だったので、愛ちゃんにとって良い現場にしたいと思っていました。他の保育園児は本当の園児で、『あそこで誰と誰がけんかしてるよ』と私に言ってきたり、本当の先生のように接してくれたので、演じやすかったです。子どもたちのすごくリアルな表情がたくさん映っているのは、この映画の好きなところの一つです」