23歳新鋭監督が映画界に“働き方改革”「広告会社勤務を続け、映画を撮り続ける」

(C)2019 閉会宣言
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製作費500万円は貯金と借金から捻出…映画賞の賞金で完済

――制作資金はどう調達したのですか?

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「単純に僕の貯金です。僕がカメラの仕事をメインにしていた時に少しずつコマーシャルも頂くようになりました。そのときから、いつかは映画を撮りたいなという思いがあったので、何も使わずにおいたんです。200万円あったのですが、みるみるうちに制作費が溢れていって、やっぱり借金をしていかないといけなかったんです。最終的には500万円くらいかかっています」

――その借金は?

「映画祭で賞金がいただくことができたので、借金は完済することはできました。なぜ、そんなにかかったというと、国際映画祭の応募ができなかったんです。まず英語字幕を付けるのに、100万円ぐらいはかかります。さらに、データを書き出して、(上映のフォーマット規格である)DCP(デジタルシネマパッケージの略)にするのですが、映画祭に対して失礼なく、スケジュール通りにやってくれるのは、IMAGICAくらいしかなかったんです。ほかにも、CG合成などの最終合成をお願いしたら、費用が膨れ上がってしまった。それでも、学生割引はしてくださったのですが……。最後はプロの方に任せてよかったな、と思います」

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――劇中には、小さなイエス様が出てきます。描かないという手もあったと思いますが、CG合成で描いた意図は?

「最初から描きたかったのか、と聞かれると、微妙です。信仰は目に見えないものなので、目に見えない物を見せていいのかという迷いはありました。最初は神様を出さないパターンで書いてみましたが、うまくいっているように見えても、『そもそも、この作品は誰が楽しめるんだろうか?』と考えてしまったんです。面白いのかな? 笑えるところも一切ないし……。単純に重い話だったのですが、試しにイエス様が出てくる形で考え始めたら、うまくまとまり始めました。子供が神様を信じました、そして、また少し疑ってしまいました、でも、また少しだけ信じるようになりました、というお話ですが、これは大人の名俳優でも、めちゃくちゃ難しいお芝居なのに、子役だったら、もっと難しいだろうと思いました。だから、やっぱり、神様を見せてよかったな、と思いましたね」

――映画はTOHOシネマズ日比谷ほかで公開されます。インディーズ映画がTOHO系のシネコンがメーン館になるのは異例ですね。

「TOHOシネマズは好きな映画館だったので、単純にTOHOシネマズでかけてみたいという思いがあって、動いてみたんです。映画祭でたまたま評価されたわけですけども、映画を知った人が『あれ、この映画は……』と気に留めてくれるのは劇場という要素が大きいと思います。自分が撮影に参加していた映画のその後もいくつか見ていたんですが、あまりうれしくない結果に終わることも少なくなかった。関わってくれた人たちがなるべく喜んでいただけるようなものにしたい、という思いがありました」

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