23歳新鋭監督が映画界に“働き方改革”「広告会社勤務を続け、映画を撮り続ける」
スペイン・第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少となる22歳で受賞した『僕はイエス様が嫌い』が公開中だ。監督・撮影・脚本・編集は、奥山大史(ひろし)氏。青山学院大学在学中に本作を制作し、現在は大手広告代理店に勤務する新鋭に、本作やインディーズ映画界の現状について聞いた。
『僕はイエス様が嫌い』奥山大史監督インタビュー
スペイン・第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少となる22歳で受賞した『僕はイエス様が嫌い』が公開中だ。監督・撮影・脚本・編集は、奥山大史(ひろし)氏。青山学院大学在学中に本作を制作し、現在は大手広告代理店に勤務する新鋭に、本作やインディーズ映画界の現状について聞いた。
映画は、東京を離れ、雪深い地方のミッション系の小学校に転校することになった少年・ユラ(佐藤結良)が主人公。その目の前に小さな小さなイエス様(チャド・マレーン)が現れる。ユラに親友ができ、信仰が芽生え始めた時、親友の身に起こった不幸に直面して……というストーリーだ。13歳の佐藤結良は映画初出演。女優の佐伯日菜子(42)が親友の母役で出演している。
――作品の着想のきっかけは?
「洗礼を受けたわけではないのですが、僕自身がキリスト系の学校で育って、ユラのような不幸に直面しました。田舎の学校ではなかったのですが、(主演の)佐藤結良君は昔の自分に似ているなと感じる部分も多かったんです」
スタッフ12人撮影期間6日間「結良君には台本を渡さず」
――6日間で撮ったと伺いましたが、そんな風には見えませんでした。素晴らしかった。どんなスタッフ編成だったんですか?
「スタッフは12人ぐらいです。基本的には学生で、プロデューサー兼助監督で、プロの方に入っていただきました。その方が学生をうまく動かしてもらうことで成立した感じでしたね。結良君には台本を渡さず、その場でその場で演出し、アドリブもしてもらいました」
――ロケ地は群馬・中之条町。スタンダードサイズでの雪景色が印象的です。
「スタンダードサイズは構図がシンプルになるので、選びました。時代設定が昔だったので、そんな雰囲気も出せれば、と思いました。なるべく雪が残るところというのが、選んだ時の条件の一つでしたが、撮影を延期して役者さんを拘束することはできないので、1週間ぐらい撮影期間を取っておいて、その中で雪があるところで撮ろうとしました。たまたま天気がうまくいってくれて、香盤(スケジュール)表通りに撮れました。雪が降らなかったパターンも考えていたのですが、本当に降ってくれてよかったです」