コロナ禍で準備期間が二極化? 大打撃を受けたウエディング業界の現状

長期化するコロナ禍により、多くのカップルが結婚式の延期やキャンセルを余儀なくされている。感染拡大から1年が過ぎ、オンライン挙式といった新しい形の結婚式も登場する中、結婚式のあり方にはどのような変化が起きているのか。(取材・文=佐藤佑輔)

長期化するコロナ禍で結婚式のあり方も変化(写真はイメージ)【写真:写真AC】
長期化するコロナ禍で結婚式のあり方も変化(写真はイメージ)【写真:写真AC】

少子化、晩婚化の流れにコロナ禍が輪をかけ、婚姻組数は50万組の大台を割った

 長期化するコロナ禍により、多くのカップルが結婚式の延期やキャンセルを余儀なくされている。感染拡大から1年が過ぎ、オンライン挙式といった新しい形の結婚式も登場する中、結婚式のあり方にはどのような変化が起きているのか。(取材・文=佐藤佑輔)

 昨年、1回目の緊急事態宣言が発令された4月から5月にかけて、予定通り結婚式を挙げたカップルは全体のわずか1割。8割が延期、さらに1割がキャンセルを決断した。かねてからの少子化、晩婚化の影響で、2000年に約80万組だった全国の婚姻組数は年々減少し、19年には初めて60万組を割り、コロナ禍が輪をかけた昨年はついに50万組を下回った。しかし、コロナ禍で結婚業界そのものが衰退することはないと語るのは、国内ウエディング事業最大手「テイクアンドギヴ・ニーズ」の岩瀬賢治代表取締役社長だ。

 同社は昨春の緊急事態宣言発令期間中、結婚式を中止し日程変更料やキャンセル料を受け取らないという対応を徹底。その後も、規約の変更を含め、可能な限り顧客の負担を軽減する対応に務めている。その理由について、岩瀬社長は「コロナ禍では、飲食業界だけでなくウエディング業界も大変に大きな打撃を受けました。しかし、一時的に式が延期となっても、顧客が必ず戻ってくるというのがこの業界の稀有なところ。何よりも結婚式を挙げたい、挙げられる日を待っているというお客様が今現実にいる。コロナ禍が収束したときには必ず揺り戻しが来る、そこも見越して誠心誠意の対応をしました」とウエディング業界特有の現象を挙げる。実際、例年の同時期よりも先々の予約は増えているといい、先物指標となる婚約指輪市場も売れ行き好調だ。

 また、YouTubeやインスタライブを使って挙式の生配信を行うなど、一時期話題となったオンライン挙式については「あくまで限定的なものでは」と岩瀬社長。「コロナ禍で人と会う機会が減っているからこそ、結婚式の意味合い、対面で会うことの価値はむしろ高まっているように感じます」と結婚式本来の意義を語る。

 長年結婚式のトレンド調査を行っている結婚情報誌「ゼクシィ」の岡田麻祐子編集長は、「そもそも、コロナ禍に関係なくそのトレンドはおおよそ10年単位で変化するもの」だと語る。

「巨大ウエディングケーキに象徴される1980年代の『派手婚』から、90年代は無駄なお金をかけない『地味婚』へ。2000年代はゲストハウスなどを貸し切る『アットホーム婚』、10年代は震災の影響もあって、人とのつながりを意識する『つながり婚』という感じです。近年は、コロナの流行前から『結び目婚』がキーワード。2本の糸が交差するようなイメージで、2人の人生という長い時間軸の中での一地点という意味合い。結婚式がゴールではなく、あくまでターニングポイントとしての1日というニュアンスですね」

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