【プロレスこの一年 ♯36】長州と橋本の「タココラ問答」小橋がGHC初戴冠 高山が二冠王に 2003年のプロレス

今から18年前の2003年(平成15年)3月1日、プロレス界ではNOAHが日本武道館大会、WJが横浜アリーナにて旗揚げ戦を開催した。NOAHでは三沢光晴を破り、小橋建太がGHCヘビー級王座を初戴冠。のちに「絶対王者」と呼ばれる小橋には、この試合が起点となったのである。一方、長州力が「プロレス界のど真ん中を行く」と宣言し鳴り物入りでスタートした新団体は、予想外の苦戦をしいられることに。今回は、03年のプロレス界を振り返ってみる。

橋本と長州が両国で一騎打ち(03年12月)【写真:平工 幸雄】
橋本と長州が両国で一騎打ち(03年12月)【写真:平工 幸雄】

「絶対王者」小橋が新日本のドーム大会で蝶野と防衛戦

 今から18年前の2003年(平成15年)3月1日、プロレス界ではNOAHが日本武道館大会、WJが横浜アリーナにて旗揚げ戦を開催した。NOAHでは三沢光晴を破り、小橋建太がGHCヘビー級王座を初戴冠。のちに「絶対王者」と呼ばれる小橋には、この試合が起点となったのである。一方、長州力が「プロレス界のど真ん中を行く」と宣言し鳴り物入りでスタートした新団体は、予想外の苦戦をしいられることに。今回は、03年のプロレス界を振り返ってみる。

 度重なる長期欠場もあり、小橋がGHCヘビーのベルトを巻いたのは意外にもこの1度きりだった。全日本時代には96年から00年にかけて三冠ヘビー級王座を3度戴冠、通算で5度の防衛に成功した。全日本退団で返上した三冠王座に代わりNOAHでの最高峰王座に到達するまでには、ヒザの手術もあって同王座新設から2年弱の時間がかかってしまった。が、戴冠以降、小橋はこの年、本田多聞、蝶野正洋、バイソン・スミス、永田裕志、小川良成に防衛し勢いを加速。しかも、05年3月5日、力皇猛に敗れるまで実に13回に渡り、ベルトを守ってみせたのだ。このとき、プロレス界のど真ん中を闊歩していたのは小橋だったのである。

 長州率いるWJには、多くのビッグネームが集まってきた。1月20日には佐々木健介、2月4日には鈴木健想、越中詩郎が入団し陣容を整えた。旗揚げ戦のメインは長州と天龍源一郎の一騎打ちで、長州が勝利。越中は大仁田厚とのノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチに臨み反則勝ち。長州VS天龍のカードは旗揚げシリーズ全戦で行われる予定だったが、3・18太田で天龍が欠場、長州も翌日から欠場し、迷走状態に突入する。

 WJは7月20日に両国国技館でビッグマッチを開催、初代WMGヘビー級王者に健介が認定されるもベルトが届かないハプニング。9月6日にはX―1で総合格闘技イベントに挑むのだが、リングを囲む金網に不具合が発生。この大会でデビューしたのが、当時15歳の中嶋勝彦だった。

 この年の新日本は、恒例の1・4東京ドームでスタート。新日本初参戦のジョシュ・バーネットを破り、永田がIWGPヘビー級王座を防衛。4・23広島では安田忠夫を退けV10を達成した。これは当時の同王座防衛新記録でもあった。この大会では、棚橋弘至が真壁伸也を破り、初代U―30無差別級王座を奪取している。

 5月2日はこの年2度目の東京ドーム大会を開催。小橋が参戦し、蝶野を相手にGHCヘビー級王座を防衛した。また、ダブルタイトル戦で高山善廣が永田のIWGPヘビー級王座を奪取するとともに、NWFヘビー級王座を防衛、2冠王となった。高山は6・13日本武道館でタイトル初挑戦の中邑真輔を破りIWGPヘビー級王座防衛。この日、鈴木みのるが14年ぶりに古巣・新日本マットに参戦した。

 真夏のG1クライマックスでは、天山広吉がNOAH秋山準を8・17両国での決勝戦で破り初制覇。28日には新日本で初めての金網デスマッチが行われ、高山が蝶野を破りIWGPヘビー級王座を防衛した。

 新日本は10月13日にこの年3度目の東京ドーム大会を実現させ、ハルク・ホーガンが9年ぶりに登場、蝶野から勝利を挙げた。11・3横浜アリーナでは永田VS鈴木の初シングルが行われ、永田が勝利。G1覇者の天山が高山を破り、IWGPヘビー級王座を新日本に奪還してみせた。

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