映画「ミナリ」ゴールデングローブ賞の外国語映画賞に 韓国人移民の苦闘を描く

アカデミー賞の前哨戦とも言われる第78回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞に、米国に移住した韓国人一家を描いた映画「ミナリ」(3月19日公開、リー・アイザック・チョン監督)が選ばれた。

受賞の喜びを語るリー・アイザック・チョン監督【写真:(C)NBC】
受賞の喜びを語るリー・アイザック・チョン監督【写真:(C)NBC】

ブラッド・ピット経営の映画製作会社が参加、米メディアが絶賛

 アカデミー賞の前哨戦とも言われる第78回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞に、米国に移住した韓国人一家を描いた映画「ミナリ」(3月19日公開、リー・アイザック・チョン監督)が選ばれた。

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 同作は「ムーンライト」や「レディ・バード」など作家性の強い作品でオスカーの常連となった米配給製作会社「A24」と、「それでも夜が明ける」でエンターテインメントの定義を変えた俳優のブラッド・ピットが経営する映画製作会社「PLAN Bエンターテインメント」がタッグを組んだ感動ストーリー。監督の両親が移民一世として韓国から米国へ移住し、一家が苦労して農業で生計を立てた過去を背景に描いた半自伝的作品だ。

 史上初のリモートで2月28日(現地時間)に行われた授賞式に出席したチョン監督は「本作を作ったきっかけはこの子です」と自身の娘を抱き上げ、「『ミナリ』は家族の物語です。彼らは、自分たちの言葉でつながろうとします。それは、どんなアメリカの言葉やほかの外国の言語よりも深いところにあります。それは心の言葉です。私もこの言葉を学び、特に今年はお互いにこの“愛の言葉”で通じ合えることを願っています」とスピーチした。

 また、「やっかいな側面も含めて、家族というものが自分にとっていかに大切かを、幼い娘に語り継ぎたいと強く感じた時に本作を着想した」と製作意図を明かす。父親・ジェイコブ役には「バーニング 劇場版」「ウォーキング・デッド」のスティーヴン・ユァン。

 チョン監督は、2020年に米有力映画メディア「インディワイア」でデヴィッド・フィンチャーやスパイク・リーらとともに「今年最高の監督10人」に選ばれた。新海誠監督の「君の名は。」のハリウッド実写版の監督にも抜擢された大注目の新鋭だ。

 同作は米国映画だが、せりふの半分以上が外国語(韓国語)であるため、外国語映画賞候補となっていた。ゴールデングローブ賞では昨年、ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」が韓国映画として初めて外国語映画賞を受賞したこともあり、米メディアは「〈普通の小さな家族〉が巻き起こした〈特別で巨大な熱狂〉」「『パラサイト 半地下の家族』に続きアカデミー賞で波乱を起こす作品」「新たなる家族映画のマスターピース」などと報じるなどアカデミー賞への期待も高まっている。

 辛口批評サイト「Rotten Tomatoes」ではパーフェクト評価の「100%」(1月26日現在)を記録。「ハリウッド・リポーター」「ヴァラエティ」ほか有力誌もこぞってアカデミー賞有力作品として名を挙げている。

 日本では19日にTOHOシネマズシャンテほかで全国ロードショー。配給はギャガ。

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