これが私の“アイドルの形” STU48谷口茉妃菜、4年の月日で見えた自分の方向性
瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の1期生・谷口茉妃菜にとって、2020年は“自分の方向性”を見いだせた1年だった。「私にしかできないことを」――。一歩ずつ自分なりのアイドル人生を進む彼女の胸中に迫った。
大島優子に憧れて入ったアイドルの世界 4年の月日を経て、自分の方向性を見いだす
瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループ「STU48」の1期生・谷口茉妃菜にとって、2020年は“自分の方向性”を見いだせた1年だった。「私にしかできないことを」――。一歩ずつ自分なりのアイドル人生を進む彼女の胸中に迫った。(取材・構成=小田智史)
「いつでもどこでもマイペース」
“らしさ”が詰まったキャッチフレーズが表すように、おっとりした性格で知られる谷口が、アイドルに強くひかれたきっかけは「AKB48」との出会いだった。国民的人気を誇るAKB48を知り、芸能界に興味を持って劇団や歌に挑戦するようになった。
「小学校高学年の頃からAKB48さんがはやり出して、誰に聞いても推しメンがいました。私は大島優子さん“神推し”! アイドルの存在を感じることが増えて、芸能界に興味を持つようになって、何かきっかけを探していました。中学生の時、初めてのオーディションでAKB48チーム8の徳島県代表に応募させていただいたりもしました」
残念ながらこの時は書類審査で落選となったが、高校生だった2017年3月にSTU48の1期生メンバーに選ばれ、憧れだった芸能界に飛び込んだ。
谷口はコミュニケーション能力が高く、類まれな包容力、優しさと相まって、メンバーの良き理解者となってきた。その一方で、3rdシングル「大好きな人」、5thシングル「思い出せる恋をしよう」で全員選抜入りするも、16人体制の選抜経験はない。争い事が苦手な性格ゆえ、個人としてなかなか結果が残せず、自分に自信が持てずにいた。
そのなかで、新型コロナウイルス禍により活動の場が限られた20年は、数少ないチャンスをつかみ取る。11月に初日公演を迎えた、SEPTプロデュースのSTU48メンバーによる舞台「Selfish amity’s」(通称セルアミ)では、オーディションをへて1期生・ドラフト3期生組の10人入りを果たした。劇団でミュージカルの経験があったとはいえ、「性格的に人に流されやすく、周りの意見に同調してしまう傾向にある。一喜一憂し続けるが、自分をしっかりと持ってステージへ向かう」という難しい設定のサラ役を熱演。普段の姿からは想像できないような、鬼気迫る迫真の演技でインパクトを残した。
「小さい頃からドラマを見ていても、役に感情移入してしまって、2歳の時には泣いていたらしいです(笑)。なかなか挑戦する機会がなかったんですが、セルアミのオーディションで選んでいただいて、演技の楽しさを改めて感じられました。本当の私はマイペースで、あまり動揺しないというか、自分を落ち着かせて対応するタイプ。サラの役は真逆で、声を大きく発して、慌てて誰かに詰め寄る感じなので、お稽古の時から演出家の方に頭を抱えさせてしまったくらい苦戦しました。でも、納得いくまで何度も練習をさせていただいて。デビュー当初から応援してくださっているファンの方にも、『新たなまひちゃんを発見した』とすごくビックリされました」