「究極の心理戦」制した那須川天心が“スーパーサイヤ人”で“トリケラトプス拳”を見せた理由

「究極の心理戦」を展開中の那須川天心(左)と志朗【写真:(C)RISE】
「究極の心理戦」を展開中の那須川天心(左)と志朗【写真:(C)RISE】

リング上でボクシング転向示唆する言葉

 天心は試合後、「自分はキックにいる時間はなかなか少ない。キックは無敗で終えていきたい」と宣言。かねてから計画されるボクシングへの転向をにおわせながら、恒例となった、人気漫画「バキ」に登場するトリケラトプス拳のポーズを披露してリングを降りた。

 髪型は「ドラゴンボール」に出てくるスーパーサイヤ人を思わせ、その光景はスーパーサイヤ人でのトリケラトプス拳である。

 もちろん、天心にそんな意識は皆無に違いないが、いわば「ドラゴンボール」と「バキ」の融合。通常ではあり得ない事象を次々と実現してきた天心からすれば、著作権を超えた“共演”すら、いとも簡単。そんな雰囲気がそこには感じられた。

 本来、大作であればあるほど融合するのは難しい。仮面ライダーがウルトラマンのスペシウム光線を使うことはできない。だが、天心はそれをいとも簡単に成し遂げたように見えた。年内には待望の武尊戦への機運も高まっている。武尊戦はおろか、ボクシングへの挑戦も超えていく、という意思表示なのかもしれない。

 一方、今大会はメインイベント以外も注目試合が目白押しだった。セミファイナルでは、RISEの伊藤隆代表いわく、「運命の対決」と定義した原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)VS白鳥大珠(TEAM TEPPEN)の一騎打ちも実現した。

 この試合は、新型コロナウイルスの感染拡大により、強豪外国人選手が来日延期となった結果、急きょ実現した夢の日本人対決だった。

 結果、原口が判定で白鳥を下したが、驚いたのは試合後、敗れた白鳥が関係者に背負われてコメントブースに現れたこと。白鳥が「王子」と呼ばれてきたことを考えると、その落差に自然と驚かざるを得なかった。

 それだけ原口の攻撃が厳しかった証明だが、白鳥は「折れたかどうかは分からないけど、試合中、骨が折れた感覚があった」と、右足の甲が異常をきたしていたことを告白。「向こうが一枚上手だった」と完敗したことも認めた。

 となれば、勝った原口は世界に向けて進めば良いが、敗れた白鳥はどうするのか。

 当然、またRISEでの激闘を続けていくことは想定されるが、もしかしたら今後はもっと別のアプローチを模索していくべきなのではないか。

 それが何を指すのかは具体的には判断しづらいが、「運命の対決」を終えた今だからこそ、一つのきっかけ作りにはして良いタイミングだと考えることもできる。「王子」の完全復活を心待ちにしながら推移を見守りたい。

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