「プロレスラーがカレーをプロデュースしたら?」異例のヒットとその謎に迫る

過去に牛丼チェーン「吉野家」やとんかつ「濵かつ」などの飲食業種とコラボを行ってきた新日本プロレスが、新たな取り組みとして全国90店舗の食料品専門店を展開している「北野エース」とレトルトカレーを制作し、話題となっている。

新日本プロレスと北野エースの共同開発のカレー (C)NJPW
新日本プロレスと北野エースの共同開発のカレー (C)NJPW

プロレスラー矢野通が本気で取り組んだレトルトカレー

 過去に牛丼チェーン「吉野家」やとんかつ「濵かつ」などの飲食業種とコラボを行ってきた新日本プロレスが、新たな取り組みとして全国90店舗の食料品専門店を展開している「北野エース」とレトルトカレーを制作し、話題となっている。

 北野エースは10年前から「カレーなる本棚(R)」という種類豊富なレトルトカレーを数多く扱う専門コーナーを展開。ここで新日本プロレスとのコラボカレーを取り扱っていて、プロレスファンの目に留まっているのだ。

 この両社による”異色タッグ”のきっかけは何だったのか。

 コラボ企画を立案した新日本プロレスリング株式会社ビジネス開発セクションの前田葉月氏によると「北野エース様のグループである北野クリエーションの社長様が熱狂的なプロレスファンで、なかでも矢野通選手のファンであり、かねてより親交があったことから生まれた話でした」と話す。

 北野クリエーションは「カレーなる本棚(R)」に様々なレトルトカレーを制作・卸売をしている北野エースのグループ会社だ。

 一方、矢野通選手は、人を食ったようなトリッキーなファイトで人気を集めるプロレスラーだが、自他共認める「敏腕プロデューサー」としてファンの間では有名だ。

 自身で企画・構成・出演したDVDをリリースすれば“バラエティ色強め、試合少なめ”の内容が好評を博し、現在までシリーズ7作を発売。プロレスDVDとしては異例のロングヒットとなり、プロレスラーでありながら“ヒットメーカー”として新日本プロレス社員からも一目置かれている。

 そんな矢野選手が次に目をつけたのが、北野エースを巻き込んだレトルトカレーの制作だった。「プロレスラーがカレー業界に満を持して参入すれば話題になるのではないか」と考え、前述のビシネス開発部に話を持ちかけ、実現に向けて動き始めた。

 プロレスラーが本気でレトルトカレーをプロデュースするという、過去例を見ない企画だったが、前田氏が部内でプレゼンしたところ、「過去の矢野選手自身のヒット作も多く、またプロレスラーがレトルトカレーに本気で取り組むだけで面白い」とのことで企画は承認され、2018年秋頃に企画が始動した。

 北野エース側との商品開発会議には矢野選手自ら出向き、べースとなるルーに様々な食材を混ぜ、候補を策定。自身が辛さ、味、香りなど総合的に目を通し、企画に携わる全スタッフを納得させるまで試行錯誤を繰り返し完成に至ったという。

 2019年春、パッケージを含めた商品が完成。販売は北野エース全店舗と、新日本プロレスの会場限定とした。

 初回製造個数は約2万食で、販売価格はレトルトカレーとしてはかなり割高な1000円(税込)という価格だったが、発売約2か月で完売。2万食の追加製造を行い、累計売上は約4万食に及ぶヒットとなった。

「新日本プロレスは自社にしかできないリソースを使い、ファンやビジネスパートナーを共鳴させ、1つの大きなストーリーを作ります。そこからコラボ事例を成功に導き、商品の売上を伸ばして結果を出せたと思います。また、北野エース様も、多くのプロレスファンに、自社の豊富な商品ラインナップや、プライベートブランド商品のこだわり、おいしさ等を知ってもらう事を狙いとしていましたが、店舗への流入機会、商品ブランディングに手応えを感じてくれております」(新日本プロレス・前田氏)

 プロレスブームの最前線を走る新日本プロレスのモットーは「面白い事はとにかく取り組む」。引き続き様々な企業とのコラボを仕掛けていく予定だ。

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