コロナ禍のフリー戦士は大変 縫製職人として踏ん張る夫婦レスラーの旦那

「今はモノ作りの収入が8割」とオルカ宇藤。6年間、所属した大日本プロレスを今年4月に卒業した後、靴、サウナハット、カバンなどモノ作り職人としても活躍している。

オルカ宇藤と世羅りさのプロレスラー夫婦は互いに支え合っている【撮影:柴田惣一】
オルカ宇藤と世羅りさのプロレスラー夫婦は互いに支え合っている【撮影:柴田惣一】

「闘う職人」として活躍

「今はモノ作りの収入が8割」とオルカ宇藤。6年間、所属した大日本プロレスを今年4月に卒業した後、靴、サウナハット、カバンなどモノ作り職人としても活躍している。

 実は、小さい頃から器用で、大日本プロレス時代にもデスマッチ用のアイテムを制作していた。最初はサウナ&スパ「おふろの国」のマットの修繕を請け負ったり、新型コロナウイルス禍に入手困難だったマスクを手掛けていた。

 通販や銭湯の売店で販売したところ、上々の評判を得ることができた。「もっとちゃんとしたモノを作りたい」と、本人の制作意欲も高まり、プロ用の工業ミシンを購入。本格的に職人業をスタートさせた。

 今では、マスクマンのマスク制作の修行を始めている。マスク屋の先駆者「シマスポーツ」豊嶋裕司氏に弟子入り。型紙を譲り受け、一から取り組んでいる。レスラーのコスチューム作りにも目を向けており「闘う縫製職人」を目指している。

「時間はたっぷりとあるから」と照れ笑いを浮かべるが、実際に4月からプロレスラーとしては2試合に出場したのみ。なかなか暴れる機会に恵まれないでいる。

 そこで、自身で大会をプロデュース。「異業種との絡みを以前から考えていた。ついに実現できた」と、デスマッチとメタルバンドの共演「鉄血のダイナマイト・リベリオン(反逆者)」を2月半ば、東京・吉祥寺のライブハウスで開催した。

 メタルバンド「Phantom Excaliver」のライブに加え、ファンから差し入れられた凶器を使用する「ノーリング金網バリケード・ギフトウェポン・スプラッターライブハウス・デスマッチ」が決行された。

 佐久田俊行、植木嵩行のデスマッチファイターも参加し、会場狭しと大暴れ。バンドとのコラボも成功し「俺たちのやりたいデスマッチを実現させていく」と、今後の展開にも力が入る。

 現在は「職人としての収入が8割」と苦笑い。2019年12月に、結婚した女子レスラー・世羅りさ(アイスリボン)夫人に「同業者だからこそ、わかってくれるので助かっている」と、感謝している。

 りさ夫人もリングで活躍する一方、事務所で動画を担当しオフィスワークにも勤しんでいる。オルカは「プロレスラーだけでなく、何かの技術を身につける生き方も大切かなと思っている」と前向きに語る。

 6月13日には東京・新木場1st RINGでハードコアミクスドタッグ1DAYトーナメント「激核闘清2」が、りさ夫人のプロデュースで開催される。オルカはりさ夫人と夫婦タッグで参戦する。りさ夫人は「オルカと自分が上がっていくためにも2人で優勝したい」とV宣言。オルカも「ぜひご期待ください」と夫婦Vを誓った。

 縫製職人の修行に、新たな闘いの場を作り出す自己プロデュース……。「闘う職人」オルカは、コロナ禍のプロレスラーの新たな生き方を示しているのかも知れない。

次のページへ (2/2) 【写真】オルカ宇藤はバンドとのコラボで新たな大会をプロデュース
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