「がんよりもある意味恐ろしい」800人以上を診てきた医師が語るコロナ“後遺症”
一生続く可能性がある重い後遺症、差別や偏見が余計に苦しめる
ただ一番良くないのが、後遺症で「つらくて動けない」「だるくて動けない」「体がつらくて動けない」のに、「サボっている」とか、「気持ちが弱いからダメなんだ」という差別や偏見が出てくることです。実態を知らない人たちのなかには、そういうふうに簡単に結論を出してしまう人たちがいます。ですが、そういう人たちのせいで、後遺症に苦しんでいる人たちがすごく傷ついてしまうことがあるので、気をつけてほしいと思います。
後遺症で苦しまないためにも、まずはコロナに感染しないことが大切です。単純なことですが、手を洗うとか、3密を避けるとか、そもそも密になっているところには行かないようにしてほしいです。今は2度目の緊急事態宣言が出され、感染が拡大している時期でもありますので、友達とは一緒に外食したり、お酒は飲まないようにしたほうがいいと思います。
英国の論文によると、コロナに感染して退院後の140日間を追いかけたところ、12%以上が亡くなっていたという報告もあります。感染した時のインパクトは風邪どころの騒ぎではありませんし、がんよりもある意味では恐ろしい部分もあると思います。がんは早期発見で治療ができれば完治できますが、コロナの場合、重い後遺症にかかってしまったら一生続くこともありえます。ですから、コロナに感染しないことにまずは集中してほしいです。
そして「後遺症が出たら治らない」「今続いている症状がどんどん悪くなる」と思い込んでしまう人がいますが、症状を和らげることはできます。もちろん今後、治療法が出てくる可能性が高くなっていて、米国ではすでに後遺症に効く薬の治験も始まっています。ですから、今まさにコロナ後遺症で苦しんでいる方には、希望を失わないでいただきたいと思います。
□平畑光一(ひらはた・こういち)山形大学医学部卒。東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などについて研究し、胃腸疾患の他、膵炎など、消化器全般の診療に携わる。2008年7月よりヒラハタクリニック院長に就任し、医療向けIT企業である株式会社メイドインクリニックを設立。これまでの診療科に加えて、オンラインでも診察可能な「新型コロナウイルス後遺症外来」を開設し、コロナ後遺症に苦しむ患者さんの治療を行うと同時に自身のSNS(@k_hirahata)でも積極的に発信している。