コロナ感染の現役アイドルが語る自宅療養 突如襲った不安「自分はどうなるんだろう?」

衛生面にも気を使う性格でも感染「ショックが大きかった」

 療養中は、名古屋市の自宅療養者向け食事支援サービスを利用し、福士のもとには1日3食分が2回に分けて届けられていた。食べることが好きで、日常生活の中で食事は楽しみであったが、自宅療養中はつらく感じた。

「お弁当を食べても味がしない……。それでも、熱を下げるために、栄養と水分をとって寝るしかないので。食べなければならないという義務感といいますか、それがつらくて、泣きながらご飯を食べたこともありました」

 不安な気持ちと戦った自宅療養では、SKE48の仲間たちが心の支えだった。

「たくさんの方から連絡をいただきました。会うことはできないけど、自宅の玄関まで差し入れを届けてくれたメンバーもいましたし、電話をすることはできたので、人と話せて安心しました。家族に報告した際も、責めたりすることはなく、優しい言葉をかけてくれたので、毎日電話をしていました」

 メンバー15人が濃厚接触者と認定され、SKE48は年末年始のイベントを中止に。福士は責任を感じていたが、ファンからの温かい言葉に励まされた。

「SNSを更新したのですが、コメント欄を見るのが怖かったです。なにか言われたらどうしよう、と考えてしまい……。でも、優しい言葉ばかりで、改めてファンのみなさんの温かさを感じましたし、こうして支えていただいた分、アイドルとして、たくさん恩返しをしていきたいと思いました」

 回復しても後遺症に悩まされる人がいる。後遺症や、体に変化は。

「私は後遺症などなく、劇場公演やイベントに出演させていただいています。2週間ほど自宅から動かなかったので、体力が落ちたと感じたことはありましたが、今は元気に過ごしています」

 コロナ闘病を経験して、生活にはどんな変化があったのか。

「コロナのつらさを体験して、周りの方は感染してほしくないと強く思ったので、より感染対策に対する気持ちが強くなりました。劇場公演の際は、必ずステージに立つ直前までマスク着用を徹底しています。大所帯のグループのため、(コロナ禍)以前は大勢で着替えることもあったのですが、着替え部屋に2人までしか入れないというルールが徹底されています。2人だけの着替えであっても、会話をしない、ソーシャルディスタンスを保つことを意識しています」

 自宅療養を想定して、事前にどんなものを用意すればよいのだろうか。

「人によって違うかもしれませんが、私は水やお茶を飲むことすらつらく感じました。大量の唾液を飲んでいるような感覚でした。それでも、水分をとらなければならない中で、メンバーが届けてくれたスポーツ飲料水は、若干甘みを感じることができて飲みやすかったです。食べ物は、味がないもののほうが喉を通りやすく、焼いていない食パンが食べやすいと感じました」

 最後に、同世代に伝えたいメッセージを聞いた。

「実際に私が感染を経験して、人ごとではないと感じましたし、私自身、心配性で衛生面にも気を使う性格だったので、それでも感染してしまうんだと、ショックが大きかったです。人一倍ウイルスを警戒していると思っていたのですが、それでも感染したので、『自分は大丈夫!』と思わないで、いつ感染するか、誰が感染するかは分からないので、油断せず、若い世代のみなさんも、無症状、軽症だから大丈夫と思わずに、感染対策に気をつけて日常生活を送っていただけたら。ちょっとだけならいいか、という油断をなくして、1人でも感染者が減ることを願っています」

□福士奈央(ふくし・なお)、1999年4月23日、栃木県出身。2013年11月に開催された「第1回AKB48グループ ドラフト会議」でSKE48のチームEに指名され、グループに加入。16年より同チームの副リーダーとなり、地元・佐野市の魅力を発信する「佐野ブランド姫」としても活動。ニックネームは「どんちゃん」。SKE48は、2月3日に松井珠理奈卒業シングルとなる「恋落ちフラグ」をリリースする。

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