新型コロナが脳卒中の引き金になる可能性も…専門医が解説する2つの病の因果関係

大半が急患の脳卒中にとって、医療崩壊は死活問題に

 では、今回くも膜下出血と脳梗塞を併発した田中の場合も、昨年8月の新型コロナ感染が原因と言えるのだろうか。

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「脳の血管の壁は3層構造になっていますが、報道によると田中さんの場合は血管解離といって、その血管壁がはがれて脳の血管を塞いでしまう脳梗塞、または血管が破れくも膜下出血の状態になったと考えられます。報じられている限り血栓ではありませんが、解離を起こす原因の一つにも炎症がありますので、コロナが遠因となった可能性はあります」

 また、脳卒中も高血圧、糖尿病などの基礎疾患を持つ人ほど重症化しやすく、新型コロナと共通したリスク因子を持つ。つまり、新型コロナで重症化しやすい人ほど脳卒中でも重症化しやすいというわけだ。

 さらに、脳卒中の患者は急患である場合が大半。目下、医療崩壊で病床が見つからず、手遅れになるケースも起こり始めている。

「体温中枢は脳がつかさどっているため、脳卒中で脳にダメージがあれば38度程度の熱が出ていることも珍しくないんです。当院では搬送される前に救急車の中で救急隊からコロナの症状がないか確認しますが、意識がないケースもあり、その場合はコロナに感染しているかどうかわかりません。仮にコロナの疑いがあるとなれば、たとえ命の危機であっても、多くの医療機関で受け入れてもらえないのが現状です。当科では医療従事者の安全を十分確保した状態で可能な限り対応しています」

 いち早く万全な医療体勢が整う日を願うばかりだ。

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