テニスの王子様から2.5次元オジサマへ 44歳俳優の挑戦心「もっと年上の役をやってみたい」

鉄道路線を擬人化したミュージカル「青春-AOHARU-鉄道」4に出演
鉄道路線を擬人化したミュージカル「青春-AOHARU-鉄道」4に出演

19歳で俳優を志し、21歳で初舞台

 今年7月には、4人組演劇ユニット「*pnish*」(佐野大樹、森山、鷲尾昇、土屋佑壱)が結成20年を迎え、アニバーサリーライブも予定している。「劇団のようなルールがない、アバウトな集団を作ろうと始めたのが最初。今までやってきたもの、積み重ねてきたものも出したいし、40代の大人の色を出したい。メンバーとはコロナ禍になって急激に近くなったなっていう感じはしますね。月に1度、YouTubeライブを開催し、20周年を目指して、メンバーが大人になるための習い事も始めました」という。

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 森山が選んだのは華道。昨年6月から、華道家元・池坊に通い、月2回、自由花で花を生けている。「もう未知の世界ですよ。華道は、どんな花たちも大事にしなきゃいけないといった教えがあるので、歩いていても、花をよく見るようになりましたね。ビルのコンクリートでも、頑張って咲いている花もあるな、だから、俺も頑張ろうって。コンクリの隙間に咲く花は、ここでしか生きられないんですよ。そう思うと、花も人間も似ているのかな。いろんな世界の人がいて、出身も違う。でも、俺は演劇な世界でしか生きていけないなって」とのことだ。

 俳優を志したのは千葉の自宅から予備校に通っていた19歳の時だった。「同級生の親友が監督志望で、そいつが監督なら、俺は俳優だな、と。親にはその決意を直接話さないといけないと思って、仕事の関係で中国にいた両親に会いに行ったんです。父は『わざわざ中国まで話しに来るとは何事だ。犯罪でもしたか、多額の借金でも抱えたのか』って。反対もされずに、俳優養成所に入学しました」

 21歳の時に「わが町」で初舞台。03年、27歳の時に「テニスの王子様」でメインキャストの桃山武役を演じたのが転機になった。「当時、*pnish*の公演もやっていたんですけど、お客さんがいないので、路上ライブをしながら、公演のチラシを配っていました。それが『テニスの王子様』に出てからは*pnish*の公演にも来てもらって、ちゃんとギャラが出るくらいになりましたから」

 コロナ禍では出演を予定していた4本の舞台が中止・延期になった。それでも、オンラインイベントを開催するなど前を向き続けた。「後ろ向きに考えた時期もあったんですけど、仕方ないですからね。再開後も、けいこはマスクをつけて、セリフ以外の私語は禁止。正直、コミュニケーションは取りにくいし、まだまだ慣れないですけど、もう前向きに考えて、コロナと共にやってくしかないなと思うんです」と胸中を明かす。

 俳優としての野望はいっぱいある。「実年齢よりも年上の役をやりたいなっていう思いもありますし、映像のあまり経験がないので、映像作品にももっと出てみたい。その上で、最終的に舞台に立ちたいんです。商業芝居で、座長芝居もやってみたい」

 王子様を卒業し、今は40代の“オジサマ”となった森山。いぶし銀の輝きで、コロナ禍に苦しむ演劇界を盛り上げていく。

□森山栄治(もりやま・えいじ)1976年10月3日、長崎県出身。2001年に男性4人組演劇ユニット*pnish*(パニッシュ)を結成。素朴な公務員からハードなガテン系まで幅広く演じきる俳優。代表作にはミュージカル「テニスの王子様」桃城武役、ロックミュージカル「BLEACH」、TEAM NACS公演「LOOSER6」、TXドラマ24「不便な便利屋」、EX「相棒14」初回SPなど。趣味はサバゲー、ギター、ゴルフの打ちっ放し、読書。特技は殺陣。

次のページへ (3/3) 「*pnish*」のメンバーによる公開リモート会議
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