テニスの王子様から2.5次元オジサマへ 44歳俳優の挑戦心「もっと年上の役をやってみたい」

2.5次元ミュージカルで活躍する俳優・森山栄治が、ミュージカル「『青春-AOHARU-鉄道』4~九州遠征異常あり~」(2月14~28日、東京・天王洲 銀河劇場)に出演する。原作は日本全国の鉄道路線を擬人化したコミック「青春鉄道(株)」で、秩父鉄道役、都営浅草線を演じる。7月には4人組演劇ユニット「*pnish*」(パニッシュ)が結成20周年を迎える。

素朴な公務員からハードなガテン系まで幅広く演じきる森山栄治【写真:ENCOUNT編集部】
素朴な公務員からハードなガテン系まで幅広く演じきる森山栄治【写真:ENCOUNT編集部】

鉄道路線を擬人化したミュージカル「青春-AOHARU-鉄道」4に出演

 2.5次元ミュージカルで活躍する俳優・森山栄治が、ミュージカル「『青春-AOHARU-鉄道』4~九州遠征異常あり~」(2月14~28日、東京・天王洲 銀河劇場)に出演する。原作は日本全国の鉄道路線を擬人化したコミック「青春鉄道(株)」で、秩父鉄道役、都営浅草線を演じる。7月には4人組演劇ユニット「*pnish*」(パニッシュ)が結成20周年を迎える。

「青春鉄道」は2.5次元ミュージカル「テニスの王子様」の初期メンバーだった永山たかし、KIMERU、郷本直也、そして、森山が再結集したもの。「『テニスの王子様は卒業したけれど、また何かやりたいよね』と始まったんです。『テニスの王子様』の舞台は青春学園。同じ名前なんです。僕だけではなく、他のメンバーもまったく知らなかったんです。鉄道マニア向けなので、最初は面白さが分からなくて、まずは鉄道を学ぶところから始めましたね」と笑う。

 2015年11月に初演を行い、今回で4回目。「『テニスの王子様』からの流れだったんで、最初はお客さんも(中身の面白さが)分からなかったんです。ところが、お客さんの方が原作を読むようになって、原作が売れるようになったそうです(笑)。そうしたら、1の時と3の時のお客さんの反応が、ぜんぜん違うんです。もう手に取るように分かって、びっくりしました」。

 鉄道路線の擬人化と言われても、すぐにピンと来ないが、秩父鉄道役というのは、どういうキャラなのか? 「秩父鉄道は自動改札がなくて、無人の駅がある鉄道です。秩父鉄道は金なんか関係ない、心があればいいんだよ、のんびり行こうぜみたいな感じ。鉄道によってキャラクターが違うわけです。2.5次元舞台は、アニメのキャラクターに似せるんですけど、『青春鉄道』の場合、役者個人が本を読んで、掘り下げていきます。原作の青春(あおはる)先生が舞台版のキャラクターの方がいいからって、原作の方を寄せたりもしているといううわさもあります(笑)」。11都府県に緊急事態宣言が発出されているが、本公演に向け、けいこに励んでいる。

 若い世代に人気の2.5次元ミュージカルだが、森山は44歳という異色のベテラン。「僕が2.5次元に出演したのは26歳。その当時の演劇界でも認知されず、『2.5次元』上がりといった扱いでした。正直、僕自身も出るのをやめようかと思っていた時期もあったんです。ただ、ここまで広がっていくと、これまで敬遠した演劇人たちが出たがるようになり、僕自身ももっと出て行きたいと思っていました。僕みたいな40代の人間がいると、2.5次元の作品の幅も広がると思うんですね」

 昨年12月にはギャンブラーの活躍を描く「賭博黙示録カイジ」では主人公カイジの最大の敵、利根川幸雄を演じた。「久しぶりにしびれる役でした。利根川は僕よりも10歳以上、上の役なんですね。飛び越えられるかどうか分からないぐらいの高さのハードルだったんで、毎日、ギリギリ飛び越えたかどうか、と悩む日々でした。役者って、Mなのかもしれないですね(笑)。ハードルを乗り越えることが楽しみだったり、面白さだったりする。利根川には感謝しています。初心を思い出してくれました。シリーズでやれたらいい」と語る。

 2.5次元舞台で活躍する若手俳優には伝えたいこともある。「お客さんはアニメ、漫画が好きというところから入るんです。なので、最初は役者個人のお客さんではないんですよ。でも、役者個人のお客さんだって勘違いする役者もいる。そこを教えてあげるのは僕らの役目。僕自身も勘違いしていたから。ただ、ガミガミ言うのは好きじゃないので、自分のやり方を見てもらえればと思っているんですけど」

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