コロナ病棟の過酷な現実 治療にあたる医師のリアルな声「受け入れ病院に補助金を」

「コロナじゃない患者でも、救急車がたらい回しになるような事態がすでに起こっている」

 また、コロナ患者やそれと疑わしい患者の診察、看護に及び腰になっている医療従事者も多いという。朝倉医師会病院では募集に9人が集まったが、それでも大半の看護師は重労働で感染リスクと隣り合わせのコロナ病棟勤務に二の足を踏んでいるのが現状だ。

「コロナ感染が怖い、また小さい子どもやお年寄りと同居されていたりと家庭の事情等でコロナ病棟へは行きたくないという看護師が多い中、勇気を出して声を上げてくれた9人は本当に頑張っています。コロナ病棟勤務者には危険手当が出るよう私から院にお願いしましたが、それもそれぞれの病院の体制による。医師や看護師の良心に訴えるだけではコロナ対応はもう限界です」

 民間病院の協力も不可欠だ。コロナ患者の受け入れをしていない個人診療所のなかには、感染を恐れて外来患者が減り経営難に陥っているところもあるが、そういう民間病院こそ、1床でもコロナ患者を受け入れられるような枠組み作りが必要だと佐藤医師は言う。

「民間病院でも今は発熱や咳、呼吸困難などの症状があると受け入れを断るところも多く、たとえコロナじゃない患者でも、救急車がたらい回しになるような事態がすでに起こっている。それも医療崩壊の実態のひとつです。コロナにかかりたくないのは医師も看護師も同じですが、だからこそ政府や医師会には受け入れしている病院に補助金を出すなどの働きかけをお願いしたい」

 日に日にひっ迫するコロナ病棟の過酷な現実。コロナ対応に追われる現場の負担を少しでも軽減できるような枠組み作りが急務だ。

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