コロナ病棟の過酷な現実 治療にあたる医師のリアルな声「受け入れ病院に補助金を」

政府は14日、緊急事態宣言の対象区域に大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県を追加。新型コロナウイルス感染爆発とも言える状況に、医療崩壊への危機も日増しに高まっている。ひっ迫する医療現場は今どんな状況なのか。日本感染症学会認定専門医・指導医の資格を持ち、日夜コロナ患者の治療にあたっている福岡県の朝倉医師会病院の佐藤留美呼吸器内科部長にコロナ病棟のリアルを聞いた。

朝倉医師会病院の佐藤留美呼吸器内科部長
朝倉医師会病院の佐藤留美呼吸器内科部長

福岡・朝倉医師会病院の佐藤留美呼吸器内科部長、日夜コロナ患者の治療にあたる医師が証言

 政府は14日、緊急事態宣言の対象区域に大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県を追加。新型コロナウイルス感染爆発とも言える状況に、医療崩壊への危機も日増しに高まっている。ひっ迫する医療現場は今どんな状況なのか。日本感染症学会認定専門医・指導医の資格を持ち、日夜コロナ患者の治療にあたっている福岡県の朝倉医師会病院の佐藤留美呼吸器内科部長にコロナ病棟のリアルを聞いた。(佐藤佑輔)

「12月中旬ごろから福岡でもコロナ患者がかなり増え、1人退院してもまたすぐ患者が運ばれてくるというような具合で、6床あるコロナ病棟はほぼ満床状態が続いています。その6床を私と部下の医師2人、院内から募った9人の看護師のローテーションで24時間回している状況です。看護師は昼3人、夜2人体制の2交代制で、年末年始も休みなし。うちは幸い食事を取る時間くらいはありますが、中にはトイレに行く時間もなく、オムツを着用して勤務している病院もあると聞きます」

 院内から防護服姿でZoomでの取材に応じた佐藤医師はそう現在の状況を語る。朝倉医師会病院は院全体で275床(2月からは224床に削減)を有する総合病院だが、完全隔離が必要なコロナ患者を診るには6床でも1棟のスペースを要する。そして、閉鎖空間ゆえに通常の業務に加えて膨大な量の雑務が必要になるという。

「コロナ病棟には私たち以外、看護助手や清掃業者も立ち入りできないので、通常の診察や看護業務に加えて、部屋の清掃や患者の介護まで行わなければなりません。1人で食事や排せつができない方や、認知症を患っている方の中には点滴の針を自ら抜いてしまったり、暴れたりする方もいる。それを少ない人数で四六時中診るのは通常の看護の何倍もの労力がいる」

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