永瀬正敏が役者・成田凌を絶賛「影の努力を惜しまない人。長く付き合っていきたい」

映画「カツベン!」(C)2019「カツベン!」製作委員会
映画「カツベン!」(C)2019「カツベン!」製作委員会

活動写真からトーキーへ移り変わる映画の進化を敏感に感じ取った男

――永瀬さんが演じたのは、七色の声を持つ男、山岡秋聲。活弁シーンは、周防監督が実際にあった無声映画を基に新たに撮影した「後藤市之丞」という作品でした。これは大乱闘シーンもある活劇で、女の声や犬の声まで演じなければいけない。

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「いろいろキャラクターを作って、演じるので、楽しいと思いましたが、そこに持っていくまでが大変でした。いっぱいいっぱいのところもありますけども、撮影中、観ていただいているエキストラの皆さん達に本当の笑顔になってもらいたい、という気持ちが大きかったです。僕の声が七色になったかは分かりませんが、僕がやった活弁のシーンは幼い時の主人公・俊太郎が見て憧れるシーンでした。後は飲んだくれの、やさぐれた男。でも、山岡はそれだけではなく、活動写真からトーキーへ移り変わる映画の進化を敏感に感じ取った男なんです。そのことを監督から最初の衣装合わせの時に教えていただき、役作りの大きなヒントになりました」

――弁士役のアプローチはどんな感じでしたか?

「活弁の先生(現役弁士の坂本頼光)に教えていただいたのですが、僕は都合があって、成田くんと同じタイミングで稽古を始めることができなかったんです。彼の方が3か月くらい先を走っていました。僕の弁士シーンは成田くんより後から撮影したので彼は何も知らずに、山岡像を想像して、演じていたわけです。一度撮影中、僕が練習しているところに彼が見学に来てくれて、見てくれました。その時、成田くんも活弁を披露してくれたのですが、もうその時点で素晴らしかった!坂本さんには本当にご苦労をおかけしたと思いますが、それでも根気強く引っ張っていっていただきました。一生懸命やったので、うまくいっていたら、いいなあと願っています」

――弁士シーンの難しさはどんなところにありましたか?

「個々の表現の仕方はもちろんですが活弁は楽士と一緒にやるので、劇場の一番後ろまで届かせるようなお芝居をしないといけない。普段はこういった大きな声を出す芝居をあまりやっていないので、観ている隅々のお客さんまで響かせる声量の出し方を教えていただきました。これまでも、叫び声はありますけども(笑)、これは新たな挑戦と言えるかもしれません。監督に勧めていただいて、発声のレッスンを受けさせて頂きました」

――活弁前の口上も難しそうでしたね。

「口上はリズムで覚えていくんです。だから、『てにをは』を間違ってしまうと、崩れてしまう。実際は、弁士の方々がアレンジをしながらやっていくのでしょうけども、僕は『てにをは』含めて、覚えていったので、難しさはありました」

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