アイドル人生を変えるきっかけの場 「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」が熱いワケ
大会に込めた思いをSKE48野島樺乃、NMB48山崎亜美瑠、STU48矢野帆夏らが体現
総選挙やじゃんけん大会とは異なり、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」は一からの立ち上げ。「本当にうまくいくのか……」。不安もあるなかで、手探りでシステム作りを始めた。
予選は自ら指定した課題曲を生ピアノ伴奏で歌唱し、プロのミュージシャンらがメンバーの歌唱映像を生放送のスタジオで審査して、20人が決勝大会へ進出。決勝大会では生バンド演奏をバックに歌声を披露し、審査員の採点でNo.1を決定するフォーマットになっている。“歌に順位をつける”ことに関しては、さまざまな意見もあるが、「その性(さが)は背負わないといけない」と竹中氏は思いを明かす。
「競い合うイベントが性格的に苦手なメンバーもいるだろうし、頑張っている子に対して順位をつけるのは残酷かもしれません。ただ、優勝や決勝進出が誰かの自信になるんだったら、という思いです。システムに関して言えば、究極論は合唱や吹奏楽のコンクールのように、共通の課題曲と個性を出す自由曲をそれぞれ歌わせて、より丁寧に歌の魅力・努力にアプローチする方法はあります。(決勝大会の)4グループに分けての実施も、まとめてやればいいという意見もあるでしょう。審査だけを考えれば、20人全員を一気に歌わせて、順位をつけるのが正しい。でも、やっぱり(各グループの)5人が終わった時に話を聞けたらイベントとしては感情移入できるし、今の形のほうが観ている方にも楽しんでいただけると思っています。組み分けの不運を救うリカバリーのために、第3回大会では審査員特別賞を1枠だけ作りました」
アイドル人生が変わるきっかけになるイベントを目指したい――。
そんな竹中氏の思いは、第1回大会で早くも結実した。それまでSKE48で選抜未経験だった野島樺乃がすい星のごとく初代女王に輝き、その後にソロ公演や初選抜と大きな飛躍を遂げた。当時NMB48の研究生で4位に入った山崎亜美瑠、野島と同様に選抜経験がなかったなかで7位入賞を果たしたSTU48の矢野帆夏も活躍の場を広げ、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の象徴的な存在となっていく。
「野島さんがシンデレラみたいなことをかなえてくれた時に、『やる意味がある』と確信できました。山崎さんや矢野さんも歌唱力No.1決定戦を始めようと思ったきっかけを体現してくれて、“この大会をこの大会にしてくれた”メンバー。あくまで僕は発案しただけで、努力してチャンスをつかんでくれたメンバーが出てきたことで、歌唱力No.1決定戦は広く知られ、認められるようになったので、感謝しかありません」