【プロレスこの一年 #27】プロレス界激動の2020年を振り返る コロナ禍のサバイバル、無観客配信、有観客大会…
潮崎豪が藤田和之との無観客の死闘を制し、GHCヘビー級王座を防衛
新型コロナウイルスの脅威が日本に押し寄せたのは2月に入ってからだった。2月20日、女子プロレスのスターダムが3月14日までの主催試合とイベントの中止を発表。これは親会社ブシロードの方針に沿った措置で、新日本でも2月26日に3月15日までの大会中止を決定した。ここからプロレス界全体も活動自粛の空気となり、中止&延期に加え多くの団体が無観客や配信での試合にシフトチェンジしていくこととなる。
3月1日には東京女子プロレスが道場での無観客試合、8日にはスターダムが観客のいない後楽園ホールでの試合を行った。4月7日に日本政府が「緊急事態宣言」を発令。観客を集めての興行は実質不可能となり、その頃アメリカでは年間最大イベント「レッスルマニア」も2日間の開催が無観客の配信に切り替えられていたのである。活動の制限を強いられたプロレス界は、新日本の木谷高明オーナーをはじめ7団体の選手フロントらが馳浩衆議院議員を訪ね、業界の現状に関する要望書を提出。馳議員はコミッショナー設立と収束後のオールスター戦開催を提唱した。秋には元女子レスラーの北斗晶を中心にコロナ禍に立ち向かう女子プロ共闘組織アッセンブルが起ち上げられ、各団体が提供試合を行う大会も開催されている。
NOAHの3・29後楽園も無観客の中で行われ、潮崎豪と藤田和之がGHCヘビー級王座を懸けて激突。試合は冒頭から約30分もの間視殺戦が展開される異例の状況となり、最後は57分47秒で潮崎が勝利、王座防衛に成功した。全日本で初の無観客となった4・6新木場でも長時間試合となり、諏訪魔&宮原健斗&ゼウス組VS石川修司&ジェイク・リー&青柳優馬組が60分フルタイムドロー。同大会では4・1後楽園、無観客の中で団体休止に追い込まれたWRESTLE-1から芦野祥太郎が登場、全日本参戦をアピールした。
4・30配信マッチから参戦する芦野は児玉裕輔と羆嵐の元W-1勢も呼び込みアンファンテリブルを復活させると、自身は諏訪魔の三冠ヘビー級王座にターゲットを絞る。そして6・30TVマッチで諏訪魔とのタイトル戦にこぎ着けることに。これは全日本として初めてとなる観客のいない三冠戦。試合は諏訪魔が防衛し、ともに世界タッグ王座を保持するパートナー、石川修司との一騎打ちに駒を進めたのだった。
全日本では前社長・秋山準がDDTにレンタル移籍されるという驚愕の発表が6月27日にDDTの大会でアナウンスされた。これまでDDTにスポット参戦していた秋山は7月1日付けで移籍に。また、DDTはNOAHと経営統合。すでに1月の段階でNOAHがサイバーエージェントグループ入りし、高木三四郎社長、丸藤正道副社長の体制がスタートしていたのだが、7月27日に両団体の統合が正式に発表された。新社名は「株式会社サイバーファイト」。高木社長、丸藤副社長、彰人副社長の新体制も明らかになった。