コロナ禍で取材形態に変化「もどかしかった」取材者が振り返る2020年【編集部座談会】

新型コロナウイルスに直撃された未曽有の2020年がいよいよ終わろうとしている。朝ドラ「エール」、「半沢直樹」、「愛の不時着」、「あつ森」、乃木坂46、米津玄師、あいみょん、Official髭男dism、BTS、「鬼滅の刃」、NiziU……。エンタメ界もさまざまな出来事が起きて記者にとっては大忙しの1年だったことだろう。そこで「ENCOUNT」では担当記者に1年を振り返ってもらうことにした(第1回)。

コロナ禍で取材形態に変化(写真はイメージ)【写真:写真AC】
コロナ禍で取材形態に変化(写真はイメージ)【写真:写真AC】

元気とパワーを与え気分を明るくしてくれる番組が好まれた1年

 新型コロナウイルスに直撃された未曽有の2020年がいよいよ終わろうとしている。朝ドラ「エール」、「半沢直樹」、「愛の不時着」、「あつ森」、乃木坂46、米津玄師、あいみょん、Official髭男dism、BTS、「鬼滅の刃」、NiziU……。エンタメ界もさまざまな出来事が起きて記者にとっては大忙しの1年だったことだろう。そこで「ENCOUNT」では担当記者に1年を振り返ってもらうことにした(第1回)。

○参加者:編集N、Y、くま吉、中野、佐藤、三吉、まんたろー、リサ(※文末に略歴)

司会:大勢の人が出入りするテレビ業界。人の往来が止まったことで打撃は相当なものだったのでは?

Y:新型コロナウイルスの影響を大きく受けた1年でした。収録を中断せざるを得なかったドラマや予定していたロケもできなくなったバラエティー番組もありました。また、番組をさまざまなメディアにPRすべき各テレビ局の宣伝部の社員も出社制限があるなど、大変な中、在宅勤務で奮闘してきました。平時なら新番組のスタート前に取材陣を呼び集めて新番組をPRする制作発表会見を行うのですが、新型コロナウイルス感染リスクを考えると、大勢の他社の記者を呼ぶわけにもいかない。

リサ:テレビ局の中には感染予防のため、外部の人をなるべく社屋内に入れないというルールを設けたところもありましたね。宣伝部員もほとんど自宅でテレワーク。ま、通勤ラッシュに巻き込まれなくて済むと喜んでいる人もいますが。

Y:社会的距離を確実に取るという意味からも、オンライン会見という形態が主流になりましたが、宣伝部の社員も慣れない形の準備は大変だったと思います。取材する側も現場での対面取材に比べ、パソコンの画面越しでは相手の表情と気持ちを読み取りにくく、やりにくさを感じた記者は少なくなかったかもしれません。

リサ:オンライン会見に参加する記者も慣れないのは同じ。Zoomの操作の仕方がよく分からなくて自分の名前に社名を付けるのにひと苦労しましたよ。Zoomが途中で落ちたり、本当にドタバタ続きでした。

三吉:収録を中断したり、感染症対策のために予定通りの撮影スケジュールをこなせなくなったことは、ドラマ制作の場には大打撃でした。当初予定されていた新番組に代わり、過去の人気番組の再放送も多く見られました。特に、4月には05年の日本テレビ系「野ブタ。をプロデュース」、7月には同じく02年の「ごくせん」がそれぞれ再放送され、好評を博しました。一方で、「過去のものが今でもこんなに評価される。この時代に新しいコンテンツを作る理由は一体なにか」とテレビ局関係者がふとこぼした言葉も忘れられません。

Y:そんな中で、明るい話題もありました。高視聴率を記録したTBS系ドラマ「半沢直樹」。9月27日に放送された最終回は、関東地区の平均世帯視聴率が32.7%と驚異的な数字(※視聴率はビデオリサーチ調べ)。コロナ禍でうつうつとした世の中にあって、視聴者は、主人公の半沢が大きな苦難に面しても決してあきらめずに立ち向かい、最後は勝利する展開に、スカッとした気分になったはず。コロナ禍で沈みがちな気持ちは救われたと思います。

くま吉:「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日×ABEMA共同制作)は、「スチュワーデス物語」みたいな懐かしの大映ドラマの王道的要素が見え隠れしていて。なかでも姫野礼香役の田中みな実さんの狂気の演技は毎回楽しみでしたね。もう1つはアニメ「映像研には手を出すな!」(NHK総合)。アニメ制作のリアルな現場と夢の世界が、細部まで絶妙にブレンドされていて、主人公の3人のキャラクターも最高でした。

Y:NHKの朝ドラ「エール」も苦難にもめげずに前に進む物語でした。初回から最終回までの期間平均視聴率は20.1%と高視聴率を記録しましたからね。今年は世の中から、元気とパワーを与えてくれたり、気分を明るくしてくれる番組が好まれた1年だったように思います。

編集N:巣ごもり生活となり、よく聞くようになったのが、サブスクリプション動画に関する話題です。知人などからも「家でずっとNetflixを観ている」などの声をよく聞きました。俳優さんのインタビューなどでも、しばしば、「韓国ドラマ」をイッキ見したという話が出てきました。今年前半、特によく話題に上がったのが「愛の不時着」「梨泰院クラス」などの韓国ドラマ。芸能人の間でも、“愛の不時着派”か“梨泰院クラス派”かで論争になったこともありましたね。私の心に刺さったのは「梨泰院クラス」でしたが……。

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