永山瑛太、中村七之助から感じた“すごみ”とは「美意識、妖艶さ、美しさ」
七之助とは休みの日におでん屋へ「すごくいいお酒の席でした」
NHKの正月時代劇で、BLとは斬新ではないか。「BLっていうことよりも、その性別の枠を超えて人間同士が惹かれあって、芸術に対して悩んだり、奮闘していく姿を描くラブストーリーと言ってもいいと思います」と瑛太。BL的なシーンはあらかじめ台本にも書かれた部分にもあったが、「手を握るとか、抱き合うといった場面もあるんですけども、逆に2人で見つめ合っている方が強く見えるというアイデアがあったり、監督の演出の中で生まれていきましたね」と話す。
ドラマ初主演となった七之助とは初の顔合わせ。どんなふうに見ていたのか。
「本当にワクワクしましたね。日本の伝統である歌舞伎界を攻めている七之助さんが、俳優としてどういう姿で現場に現れるのか。たくさん勉強させていただきたいなという気持ちで撮影に挑みました。佇まい、顔の角度、細かいところを見ていました。次の日が休みの時は、おでん屋にも行きました。女方をやっていらっしゃるせいか、優しい柔らかい人。ご飯を食べても、佇まいがきれいで、お話も面白いし、すごいいいお酒の席でしたね。俳優のオーラだけではなくて、女優さんが持っているような美意識、妖艶さ、美しさも感じるんです。箸の持ち方、置き方、いただく時も手先だけじゃなくて体から入っているっていうか、そういうところも普通の人ではないんです」
ところで、瑛太が考える天才とは何か? 「今、パッと浮かぶのは中田英寿さん、久保建英、本田圭佑さん……。僕はサッカーが好きなんで、選手ばかりですね(笑)。やっぱり、幼い頃から世界を見ている人は天才なんじゃないですかね。もちろん、長友佑都選手みたいに大学時代、けがで試合に出ていないのに、その後も、ずっと努力し続けて、最終的に日本代表に選ばれる、そういう人も天才だと思います。後は物事を楽しんでいる人ですかね。羽生結弦君はリンクの上では自分の世界に入って、演技を見せてくれますよね。これが一番好きなんだというものを持っている人は、陰では並大抵の人ができない努力をしている。七之助さんも天才ですよ」。
劇中で気に入っているせりふは、譲り受けた若冲の絵を寺でじっくりと眺め、「何か変なものが見えとるな」という場面だという。「若冲は普通ではない領域に行ってしまっているような存在ですが、大典顕常も魂みたいなもの、変なものが見える人だったんでしょうね」。そんな2人の天才が心を通じていく過程が物語の見どころ。若冲と大典顕常が織りなす男同士の愛の物語は、視聴者にも “変なもの”が見える異色の時代劇に仕上がっているのではないか。
□永山瑛太(ながやま・えいた)1982年12月13日生まれ、東京都出身。主な映画出演作に「アヒルと鴨のコインロッカー」「ディア・ドクター」「余命1ヶ月の花嫁」「まほろ駅前多田便利軒」シリーズ、「ワイルド7」「一命」「僕達急行 A列車で行こう」「64-ロクヨン-前編/後編」「ミックス。」「リングサイド・ストーリー」「光」「友罪」「闇の歯車」「太陽の家」など。「HOKUSAI」2021年5月の公開が控えている。