「力尽きた時計にふたたび命を」オンラインで見つけた時計修理会社の“素敵なサービス”

年末の大掃除。失くしたと思っていたものがふいに出てくることがある。手に取るとうれしさや懐かしい気持ちが込みあがり、長年手放していたものの、息を吹き返らせたくなるもの。断捨離中、失くしていたと思っていた腕時計が、針が止まっている状態で出てきたという滝川さん(@MaikoTakigawa)は、オンラインで時計の修理を依頼。すると、修理会社の“おしゃれ”なサービスに驚いたという。

断捨離中に見つけた腕時計を修理に出すことに…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
断捨離中に見つけた腕時計を修理に出すことに…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

修理会社からのメッセージに込められた“ビスケット”の意味

 年末の大掃除。失くしたと思っていたものがふいに出てくることがある。手に取るとうれしさや懐かしい気持ちが込みあがり、長年手放していたものの、息を吹き返らせたくなるもの。断捨離中、失くしていたと思っていた腕時計が、針が止まっている状態で出てきたという滝川さん(@MaikoTakigawa)は、オンラインで時計の修理を依頼。すると、修理会社の“おしゃれ”なサービスに驚いたという。

 滝川さんは修理に出す前に、自身の腕時計がまだ市場に出回っているものなのかを調べていたとき、株式会社修理工房(愛知県名古屋市)のサイトを発見。「うろ覚えですが、“手に入らないメーカー専有部品は社外製ではありますがお仕事させていただきます”という言葉が添えてあったので、直るかどうかだけでも見てもらおうかなと思いました」と、同社にオンラインで問い合わせた。

 数日後、「この箱に入れて送って下さい」と無料郵送パックが届いた。すると、箱の中から“ビスケット”が……。通販で買い物をすると、サービスとしてお菓子が同封されてくることがあったため、「いつものことか」と思ったそうだが、このビスケットが同封されていたことは、修理を依頼してくれたことへの“お礼”のほかにも理由があった。

「お時計を衝撃から守る2枚のスポンジに無色透明の『保護パック』、そのなかに『ロータス社のビスケット』を挟んでいます。もし、ビスケットが欠けていた場合は、配送経路になんらかの支障があるかもしれませんので、ご返送を取りやめ、時計修理工房のスタッフにご相談くださいませ。

余談ではございますが、ロータスの和名は蓮(はす)、輪廻転生の象徴にございます。力尽きたお時計にふたたび命を吹き込むのが、私たち時計修理工房の使命とお考えいただければ幸いです」

 粋なメッセージに、「しゃれてるなぁ」と思いながらビスケットの写真を添えてツイートすると、「いいですねぇ~お仕事ぶりも信頼できる感じ」「安心してお任せできる計らいですね」「お洒落工房と命名したい」「素敵なお店だ。。」などのコメントが多数寄せられ、16万を超える「いいね」が集まった。

創業当初から続けているサービスと、顧客と向き合う姿勢

 時計修理工房の担当者に話を聞くと、「申込みに対する感謝、輸送ルートで衝撃が加わり割れないかの検証、時計を入れる位置を明確にするため」という理由から、創業した2012年2月からビスケットを入れているという。「時計の修理をする」ということだけではなく、修理に出す顧客の気持ちに寄り添った、細やかで丁寧な心遣いがうれしい。

 オンラインでの修理の問い合わせは月に1000~1200件で、実際に修理として預かるのは500~600本。ツイートの反響もあり、1日で200件超の問い合わせや申し込みがあることもあるそうだが、「遅れることがないよう、体制を強化して、早急に対応をすすめております」と、全力で取り組む姿勢を見せた。
  
 滝川さんは、ボロボロで劣化した状態の腕時計を見て「修理に出すのも恥ずかしい」と捨ててしまおうかとも思っていたそうだが、「皆さんが『素敵な修理屋さん』とおっしゃてくださるので、本当にそうだなって安心してお任せできる素敵な修理屋さんに出会えたと思っています」と、欠けることなく手元に届いたビスケットを食べて、腕時計を送り出した。再び針が動き、生まれ変わって戻ってくることを楽しみに待っている。

次のページへ (2/2) 【写真】修理会社からのメッセージとビスケット
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