映画館の館長は最高齢89歳 地方の小さな映画祭に映画人が集結するワケ

日本有数の温泉地、大分・別府で「第4回Beppuブルーバード映画祭」(12月5、6日)が開催され、「ソワレ」の村上虹郎さん、「一度も撃ってません」の阪本順治監督、「酔うと化け物になる父がつらい」の渋川清彦さん、「喜劇 愛妻物語」の足立紳監督、夫人の晃子さんが参加し、大盛況で幕を閉じました。映画祭と聞くと、大規模なイベントを想像されるかもしれませんが、定員80人程度、昭和レトロの味わいある「ブルーバード劇場」が主催する小さな映画祭です。

ブルーバード劇場の岡村照さんと村上虹郎【写真:平辻哲也】
ブルーバード劇場の岡村照さんと村上虹郎【写真:平辻哲也】

阪本監督「ブルーバード劇場があるから、行くんだ」

 日本有数の温泉地、大分・別府で「第4回Beppuブルーバード映画祭」(12月5、6日)が開催され、「ソワレ」の村上虹郎さん、「一度も撃ってません」の阪本順治監督、「酔うと化け物になる父がつらい」の渋川清彦さん、「喜劇 愛妻物語」の足立紳監督、夫人の晃子さんが参加し、大盛況で幕を閉じました。映画祭と聞くと、大規模なイベントを想像されるかもしれませんが、定員80人程度、昭和レトロの味わいある「ブルーバード劇場」が主催する小さな映画祭です。

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 館長を務めるのは89歳の岡村照さん。映画館館長としては最高齢。1949年に父・弁助さんが「子供たちに夢を与えたい」とオープン。しかし、弁助さん、その後を継いだ夫の昭夫さんが相次いで亡くなり、70年に照さんが3代目館長に就任しました。全盛期にあった約20の映画館が1つずつ閉じられる中、照さんは「2人がせっかくレールを敷いてくれたんだから、その上を走っていけばいい」と映画の灯を守り続けてきたのです。現在は娘の実紀さん、映画ライターの森田真帆さんら女性陣が館長をサポートしています。

 映画祭は、映画人との広い人脈を持つ森田さんの発案で、16年から毎年11月に開催。照さん、森田さんの人柄を慕って、多くの映画人が来館。昨年は女優の真木よう子さん、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演中だった阿部サダヲさんが参加し、長い行列ができる大盛況でした。コロナ禍に見舞われた今年は中止も考えたそうですが、照さんが館長生活50年を迎えることから、規模を縮小し、コロナ対策をした上での開催を決めたのです。

 阪本監督は藤山直美主演の「顔」(00年)で同館をロケ地に使って以来のお付き合い。石橋蓮司さん主演の最新作「一度も撃ってません」の出演者、渋川さんと連名で、「館長就任50周年」を祝う生花を贈っていました。阪本監督は「別府には温泉やおいしい食べ物がいっぱいあるけれど、ブルーバード劇場があるから、行くんだ」と愛してやみません。

 初参加となったのは「喜劇 愛妻物語」(公開中)の足立監督と夫人の晃子さん。足立監督は安藤サクラ主演「百円の恋」(14年)や森山未來、北村匠海、勝地涼出演の「アンダードッグ」(公開中、ともに武正晴監督)の脚本で知られています。

 同作は、ヒモ同然の脚本家・豪太(濱田岳)が四国を舞台にしたシナリオを書くために、トキメキを失って久しい妻・チカ(水川あさみ)と幼い娘(新津ちせ)とともに5日間の取材旅行に出かけるというコメディー。豪太の裏テーマは、セックスレスの妻とセックスをすること。足立監督自身の実体験を基に、夜の夫婦の営みを赤裸々に描いた驚きの作品です。

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