「はやぶさ」を「きみ」と呼んだワケ、12月6日帰還を前に制作者が明かす秘話

「劇場版HAYABUSA2~REBORN」(C)HAYABUSA2~REBORN 製作委員会
「劇場版HAYABUSA2~REBORN」(C)HAYABUSA2~REBORN 製作委員会

元NECエンジニア・小笠原さん、はやぶさの魅力は「未知なるものへの挑戦に尽きる」

――はやぶさの魅力は?

上坂監督「今までやったことがないことをやったことです。宇宙でサンプルを取って帰ってくるのは世界初。初号機は満身創痍になっても諦めないでやり通した。最後、自分がバラバラになってもサンプルを届けた姿が、日本人の感情にとどめを刺したんじゃないかな。『はやぶさ』ミッションはJAXAだけのものじゃなくて、日本中が応援している。本当に魅力が大きくなっていった気がしますね」

小笠原さん「未知なるものへの挑戦に尽きる。私が最初にやったのはハレー彗星に行くミッション、1990年代は火星。いろいろ問題があっていけなかったんだけど。常に行ったところのないところへ、フロンティアへ行きたい。その一つの行き着く先が『はやぶさ』であり、『はやぶさ2』だった。真っ黒なリュウグウのサンプルを見たら、多分、みなさんびっくりしますよ」

上坂監督「小惑星も地球も同じ物質ですが、地球上は風化作用などで物質の状態が変わってしまっています。地球とは違い、小惑星は46億年前の物質がそのままの状態で残っている。それが生命の始まりの物質かもしれないんです。後は帰還の成功を祈るばかりです」

小笠原さん「大丈夫ですよ。はやぶさ2は初代の10倍は準備していますから」

□上坂浩光(こうさか・ひろみつ)1960年2月23日生まれ、埼玉県春日部市出身。映画監督、フルドームCGクリエーター、CGアーティスト。天体写真家としても活躍。「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH」など、はやぶさ、はやぶさ2に関わる映像作品を製作。科学技術映像祭文部科学大臣賞など、数々の賞を受賞している。

□小笠原雅弘(おがさわら・まさひろ)1954年12月28日生まれ、山形県山形市出身。1982年、NEC航空宇宙システム入社。その後一貫して、ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」、スイングバイ技術試験衛星「ひてん」、月周回観測衛星「かぐや」そして「はやぶさ」など、太陽系探査機の開発/運用に従事。

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