中村蒼、朝ドラ「エール」は大きな転機「極めた人に出会えたことが大きい」
うらやましかった“三羽ガラス”のような存在、でも「役者は一人で戦う職業」
――歌手・佐藤久志役の山崎育三郎さんは?
「ミュージカルの方が映像に出るという点では、育さんは先駆者だと思いますし、歌もお芝居も誰かに伝えるっていう力はすごい。コミカルなシーンでもちゃんと存在感を残している。久志がこれだけ愛すべきキャラクターになったのは、育さんの人柄があってこそ。本当にキャスティングの方がすごかったと思います。ほかにも、(森山)直太朗さんはお芝居をやったことがなかったらしく、最初は『僕なんかが』とおっしゃっていたんですけども、ふたを開けてみたら、バッチリ合っていたし、今では、藤堂先生は直太朗さんしか考えられないですから」
――自身にとっての三羽ガラスのような存在は?
「僕は学生時代、サッカーをやっていましたが、将来の夢が同じで切磋琢磨するっていうのはなかったです。役者は、仲間と頑張るんですけど、結局は1人でやっていかなければいけない仕事ですし、一人で戦っていかなければいけない職業だと思いますので、3人のような関係性はうらやましいなと思います」
――鉄男役として、戦ってきたことは?
「鉄男は派手な人間ではないですが、人のために頑張れる人なので、前に出過ぎないように。ただ、キャラが濃い人が多い中、埋もれないようにして、みんなに見てもらえるようにするのは難しかったです」
――中村さんとの共通点は?
「多くを語らず、自分の問題は自分で解決するところ。地道に忍耐強いところです」
――鉄男から教えられたことはありますか。
「母校での講演での言葉です。『人との縁は大切に。今はつらくても、未来は変えられるよ』といった言葉はとても学ばせていただきました。自分の人生をどうしても他人と比べて見てしまって、自分は普通だなとか思いがちなんですけれど、冷静に自分の過去の作品を振り返り、周りを見渡して見ると、すごくいい人たちに恵まれてきたし、楽しい思い出ばかりでした。一つ一つ作品をやる時も、いろんな人と目に見えない繋がりがあるので、そこを忘れずに感謝していかなきゃと思います」