【オヤジの仕事】はなわさんの生真面目な父は「佐賀県」ヒットで佐賀県知事に土下座した
父の元同僚から父の素顔を知る
ボクはお笑いのネタを作って、学校内で“ネタ見せ”するために練習をしなきゃいけないのに、オヤジがいるとできない。だから「オヤジ、早く寝ねぇかな」と思って、夜9時頃に布団敷いてオヤジを寝かせて(笑)。それから近くの公園に出かけてって、1人コントの練習をしたんです。そうしたら、オヤジがこっそりボクの後をつけてきて、ボクが練習するのを見ていたと、後日、オフクロから聞きました。「あの尚輝が1人でちゃんと練習してた。お笑いやりたいってのは本気だったんだ」って。それで認めてくれたみたいです。
売れる前は借金をしたり、電話や公共料金を止められたりしてたんで、金銭的に助けてくれました。「佐賀県」で売れたときは、なんせ佐賀をディスる歌だったんで、オフクロと一緒に菓子折を持って、当時の古川康佐賀県知事を訪ねて土下座して謝ってくれたそうです。迷惑をかけました。そのぶん売れてからは旅行に連れて行ったり、仕送りをしたり。弟と協力して、実家をリフォームして傷んだ床や天井を直したこともあります。
15年ぐらい前ですが、オヤジの定年退職後、オヤジの会社が営業に呼んでくれたことがあるんです。そのとき、オヤジの同僚だった方から「お父さんがメチャクチャおもしろい人だったから、息子もおもしろいんですね」と言われて驚きました。家では無口でおもしろいことひとつ言ったことがないから、オヤジには家族の知らない顔があるんだ、って。いったい、どうおもしろいのか。弟に似て毒舌なのかな(笑)。
ネが真面目な性格は父の遺伝と自覚
オヤジは今年77歳。オフクロともども健在です。夫婦仲もいいですよ。ボクが生まれた頃は埼玉に住んでいて、ボクが2歳になるかならない頃、千葉県我孫子市にマイホームを建てて移り住みました。小学校6年の途中で佐賀市に転勤になって家族で引っ越しましたけど、定年後にまた我孫子に戻っています。突然、油絵を始めて風景画を描いたり、海外旅行を楽しんだりしています。
ボクの息子たちが柔道をやっているので、試合に応援に来てくれたりも。ボクもオヤジと同じで、子どもは息子が3人。3人の息子を食べさせていくのって大変ですよ。仕事についても、自分が働くようになると、家族を養うためにオヤジもがんばったんだろうなと思うようになりました。ボクは芸人気質のオフクロ似で、オヤジとは似ていないと思っていたけど、ネは真面目でがんばって家族を養おうとするとこや人に気を遣うとこはオヤジの遺伝かな、と思ったりしますね。
○はなわ 1976年7月20日生まれ。佐賀県出身。専門学校東京アナウンス学院お笑いタレント科在学中、芸能事務所に入りバラエティ番組に出演するように。プロ野球・松井秀喜選手のモノマネなどで注目され、2003年、シングル「佐賀県」(インペリアルレコード)でCDデビューしブレイク。NHK紅白歌合戦にも出場した。17年にはシングル「お義父さん」(ビクターエンタテインメント)、19年は映画「翔んで埼玉」の主題歌「埼玉県のうた」(ビクターエンタテインメント)も話題に。