手塚治虫の原作を息子が映画化 手塚眞監督が日本映画界に唱えた“提言”とは
稲垣吾郎と二階堂ふみがダブル主演を務めた映画「ばるぼら」の公開直前上映会が17日、都内で行われ、漫画家の手塚治虫を父に持つ手塚眞監督が記者会見に応じた。
「ばるぼら」は11月20日より全国で公開される
稲垣吾郎と二階堂ふみがダブル主演を務めた映画「ばるぼら」の公開直前上映会が17日、都内で行われ、漫画家の手塚治虫を父に持つ手塚眞監督が記者会見に応じた。
原作は父・手塚治虫の同名漫画。禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど、さまざまなタブーを扱っていることから“映像化不可能”と言われていた原作を、息子の手で映画へと昇華した。この日、イタリア最古のファンタスティック系映画祭「ファンタ・フェスティバル」で最優秀作品賞にあたる「ゴールデンバット賞」を受賞したことが発表された。
原作漫画を手掛けていた頃の手塚治虫は漫画家として停滞期だったと言われるが、「つらい時代と皆さんおっしゃるが、僕の子どもの頃の記憶と照らし合わせるとその時代も楽しく生きていたと思う」とジョークを飛ばした手塚監督。外国人記者から「主演の稲垣吾郎から松田優作らしさを感じた」と言われると「俳優さんはいろいろと演技を見て、自分のイメージに合ったので頼みました。あまりはっきりしたビジョンを決めるのではなく彼らに任せてみた。僕はそれをまとめただけ」と話した。
また、日本・ドイツ・イギリスと3か国のスタッフによる合作となったことについては「父の漫画は熟知しているつもりだが、日本を舞台にしていても非常にインターナショナル。プラハを舞台にしないかという誘いもあったが、逆に東京・新宿で外国人のスタッフで撮ったほうが日本人の僕らが気づいていない面白さが表現できるんじゃないかと思った」と意図を説明する。
「日本人はもっと海外の才能と手を組むべき。でないと自国の中でテクニックが固まってしまう。歴史的にも日本は海外の文化を取り入れて発展してきた。海外のものを取り入れることで逆に日本的なものになると思う」と日本映画界に物申した。同作は今月20日より全国で公開される。