パリコレ断念から俳優へ 渡邊圭祐が仙台の古着店で過ごした約3年と「勝負できる場所をくれれば勝てる」自信
俳優の渡邊圭祐が、映画『2126年、海の星をさがして』(11月13日公開、金子修介監督)で主演を務める。地元・北海道・釧路を愛するゲームオタクの東面(とうつら)巌役。映画初単独になるが、気負いを口にしない。仙台出身の渡邊が本作、自身の地元愛、仙台時代の思いを語った。

「主演はわがままでいいんだよ」萩原聖人の金言を胸に挑んだ映画初単独主演
俳優の渡邊圭祐が、映画『2126年、海の星をさがして』(11月13日公開、金子修介監督)で主演を務める。地元・北海道・釧路を愛するゲームオタクの東面(とうつら)巌役。映画初単独になるが、気負いを口にしない。仙台出身の渡邊が本作、自身の地元愛、仙台時代の思いを語った。(取材・文=平辻哲也)
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作品は3月20日から舞台となった釧路で先行公開され、約8か月を経て全国公開を迎える。渡邊がまず口にしたのも、主演としての自身のことではなく、釧路の人たちに作品がどう受け止められたかだった。
「釧路の人には受け入れていただけたのかな、というのがあってホッとしています。一番受け入れていただかなければいけない方たちに見ていただけたので、ここから全国で、釧路出身の方たちだったり、それぞれに地元を持つ人たちに見ていただいて、地元に対する愛だったり、いろんな方向に対する愛みたいなものが自分の中に芽生えるきっかけになるこの映画が届けばいいなと思います」
巌は、中学時代に夢中になった世界的ヒットゲームの新作ロケ地に釧路を誘致しようと、幼なじみと奔走する青年だ。クセの強い人物や悪役なら、自分で色を付ける余地もある。その点、巌は相手の言葉を受けながら、細かな感情の揺れを見せなければならない。
「やっていて『今のでいいのかな』という自分の中の迷いみたいなものを消化していく作業になるので、そういうのが逆に新鮮というか、楽しかったですね。醍醐味という感じでした」
渡邊にとっては「受けの芝居」の面白さを味わう作品でもあった。クライマックスでは、萩原聖人演じるコンサルタントと真正面からぶつかる。萩原が強い圧で距離を詰めてくる中、「ここで一歩引いちゃいけない」と踏ん張った。
撮影の合間に萩原と食事に行った際には、「主演はわがままでいいんだよ」と声を掛けられた。その言葉が「お守り」のようになったといい、「うれしい出会いでした」と感謝を口にする。
巌が抱く地元への思いも、渡邊にはすんなり理解できた。宮城県・仙台市出身。自身の芸能活動の原点も、地元の商店街で行われたファッションショーだった。
「役者の中で僕が一番、地元愛が強いんじゃないかと思っているくらいです(笑)。巌が寂れていく駅前を見てショックを受けたり、『なんとかしたい』と奮闘する気持ちは、役作りがいらないくらい自然に理解できました」
その渡邊も、最初から俳優を目指していたわけではない。大学2年からモデルを始めたが、当初は「学業や遊びの片手間の割のいいバイト」程度の感覚だった。
転機は就職活動だった。周囲が企業への就職を目指す中、自分が会社員になる姿を想像できなかった。
「今楽しめることを仕事にしようと思って、その時パッと出てきたのがモデルだったんですよ。『じゃあ俺、このままモデルやってみようかな』『本気でやってみよう』って」
本気で続けるなら目標が必要だ。そこでパリ・コレクションを目指した。ところが、自分が目にした情報には「身長185センチ以上」という条件があった。
「あ、じゃあ俺は足りないな。あ、じゃあもう無理だ」
切り替えは早かった。ちょうどその頃、声を掛けられたのが演技のワークショップだった。
「ワークショップとはなんぞやと思いながらなんとなく行ってみたら、そこでお芝居の入り口を見せていただいて、『お芝居面白い。同じ括りにある職業として、俳優というのも面白いな』と思って目指そうと思ったんです」
大学4年時には、毎日放送主催のファッションショーのオーディションに参加した。東京から来たモデルもいる中、男性で選ばれたのは渡邊1人だった。
「『東京のやつらに勝ってやったぜ』『俺、東京でもやれる』という自信はあったんですけど、うまいこと1人だったというより、目立てたのが大きかったですね」

仙台の古着屋で働きながら過ごした3年間
アフターパーティーで「役者をやりたい」と話したことも、その後の縁につながった。
とはいえ、そこからトントン拍子だったわけではない。アミューズと話が進んだ後も、仙台の古着店で働きながら約3年間を過ごした。留学もした。「俺、今何なんだろう」という「グレーな時期」だったという。
それでも不安はなかった。
「勝負できる場所をくれれば勝てるでしょ、という根拠のない自信がすごくあった気がします」
昔から「負けない」という感覚はあり、「自分を鼓舞するのが得意」とも話す。ただ、自分のような強さだけが俳優に必要だとは考えていない。
「繊細な人は繊細な人での登り方があるし、すごい自信家の人の登り方もあるし、別ルートというか、そこもまたこの仕事の面白いところだなと思って見ていますね」
「勝負できる場所をくれれば勝てる」と考えてきた渡邊に、映画初単独主演という場所が巡ってきた。だからといって肩に力を入れるのではない。クセの強い役なら色を付け、巌のような人物なら相手の芝居を受ける。自分のルートを決めつけず、一つずつ役と向き合っている。
■渡邊圭祐(わたなべ・けいすけ)1993年11月21日生まれ、宮城県出身。2018年『仮面ライダージオウ』で俳優デビュー。以来テレビ、映画、舞台にて活躍中。近年ではNHK大河ドラマ『光る君へ』 (24)、関西テレビ『銀河の一票』(26)、テレビ東京『夫を殺したはずなのに』(26)、映画『女神降臨』シリーズ(25)、『ほどなく、お別れです』(26)、『SAKAMOTO DAYS』(26)、『ブルーロック』(26)等に出演。また、2027年1月上演の舞台「The Four of Us」の出演が控えている。
ヘアメイク:木内真奈美(Otie)
スタイリスト:兜(Yolken)
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