孤独だった少女がギャル集団・GALEDGE.のプロデューサーに SHINKOが伝える“ギャルマインド”「居場所がない子を救いたい」
「ギャル文化を一つのカルチャーとして残していきたい」――。そう語るのは、11人組ギャルパフォーマンスグループ・GALEDGE.(ギャレッジ)のプロデュースを手掛けるダンサーのSHINKOだ。10月14日にデビューシングル『WILDCARD』をリリースし、J-POPでもK-POPでもない、日本発の新ジャンル“G-POP(GAL-POP)”を世界へと発信していく。大阪のダンススクールで約15年にわたり、メンバーたちと向き合ってきたSHINKO。その原点は、孤独だった幼少期の経験にあった。居場所を求めていた少女は、なぜ誰かの居場所を作る側になったのか。SHINKOの“ギャルマインド”の原点に迫った。

ギャル11人組・GALEDGE.が10月14日にデビュー
「ギャル文化を一つのカルチャーとして残していきたい」――。そう語るのは、11人組ギャルパフォーマンスグループ・GALEDGE.(ギャレッジ)のプロデュースを手掛けるダンサーのSHINKOだ。10月14日にデビューシングル『WILDCARD』をリリースし、J-POPでもK-POPでもない、日本発の新ジャンル“G-POP(GAL-POP)”を世界へと発信していく。大阪のダンススクールで約15年にわたり、メンバーたちと向き合ってきたSHINKO。その原点は、孤独だった幼少期の経験にあった。居場所を求めていた少女は、なぜ誰かの居場所を作る側になったのか。SHINKOの“ギャルマインド”の原点に迫った。(取材・文=中村彰洋)
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GALEDGE.は、SHINKOが約15年にわたり、ダンスとギャルマインドを伝えてきた11人のメンバーからなるギャルパフォーマンスグループ。前身は、2023年に結成された「SSSCLUB(エスクラブ)」で、大阪のダンスシーンで活動していたグループだ。
「私の指導方法はちょっと特殊で、ダンスだけではなく、マインドもセットで15年間指導し続けてきました。これを、もっと世の中に向けて発信していきたいと思ったんです。あの子たちが培ってきたマインドや熱量はどこにも負けない。メンバーの成長を目の当たりにして、『人ってこんなに変われるんや』と実感したと同時に、世に発信していく意味があると確信しました」
「日本を代表するギャル集団にしたい」。大きな目標に向かって、がむしゃらに挑戦し続けていく中で、ツインプラネットの矢嶋健二社長との出会いが転機となった。
「ギャル文化を世間に発信し続けてきた事務所さんということは、もちろん知っていました。矢嶋さんとお会いして、『ギャルマインドで世界を盛り上げたい』と直談判しました。実際にメンバーのパフォーマンスも観ていただいたり、いろいろなことをお話していく中で、『ギャルシーンを一緒に盛り上げていこう』と今回のご縁をいただきました」
この再出発を機に、SHINKOはグループ活動の中では、プロデューサーに徹することを決意。グループ名も「GALEDGE.」へと改め、SSSCLUB時代のSNS投稿などもすべて削除。メンバー全員が上京し、心機一転、新たな挑戦に踏み出した。11人の人生を預かる立場になったが、プレッシャーはむしろ減ったとも語る。
「世に出したものは、自分の子どものような存在なので、寂しさもありました。でも、“何かを手放さないと大きなものは入ってこない”とも考えていました。メンバーとも『これを一つの覚悟として先に進もう』と話しました。SSSCLUBの頃の方が、『私がみんなの人生をなんとかしてあげなきゃ』と、自分に重荷を課していました。でも、まずは私自身が楽しむことが大切だと気付けたんです。今は、私のことを支えたいと言ってくださる仲間がたくさん増えたので、プレッシャーよりもワクワクが大きいです」

生徒との出会いで変化した思い「ちゃんとせなあかん」
“ギャルダンサー・SHINKO”誕生のきっかけには、「エンタメに救われた」という幼少期の原体験があった。
「片親で、母も外で遊んでほとんど家に帰ってこない、歳の離れた姉も早くから家を出ていたので、小学生の時からほぼ一人暮らし状態でした。そうなった時に、心の支えになるものがテレビしかなかったんです。テレビを観ている時間だけは、なんだか強くなれている気がして、『私もこの箱の中に入りたい』という現実逃避のような思いが一番最初のきっかけでした」
ダンスを始めたのは小学4年生の時。母親から、食費代わりに渡されていたお金を手に、一人でダンススクールの門を叩いた。「当時見ていたアイドルの存在が大きかったです。歌って踊って盛り上げるぞみたいなバイブスが、小学生の私にとってはすごく魅力的で、私もそのテンションで生きてみたいと思ったんです」。
そんなSHINKOが、ギャルと出会ったのは中学生の頃だった。当時は平成ギャルブームの全盛期。「校則が厳しかったので、ちょっとした反抗心で、ルーズソックスを履いたり、スカートを短くしたり、マスカラを塗ったりしていました」。それがギャルへの第一歩となった。
その一方で、当時は複雑な家庭環境の影響もあり、人を信じるということができずにいた。「小中学生の時はすごく暗くて、友達も少なかったです。変にませていて、『みんなどうせ幸せなんでしょ?』って。誰かに自分のことを理解してもらうことがすごい怖くて、どうせ裏切られるだろうと思っていました。擦れていたなと今では思います」。
ダンスとギャル。この2つを支えに学生生活を送っていたが、将来の展望は一切持てずにいた。しかし、教える側に立つ機会をもらったことが、大きな分岐点となっていった。
「周りにいる大人をリスペクトできる環境にいなかったので、『こういう大人にはなりたくない』という明確な思いはありましたが、『どうなりたいか』というビジョンを持つことはできませんでした。高校生の頃は、本当に生きる楽しみがなくて、ちょっと病んでいたかもしれません。でも、18歳の頃からダンスの先生をやらせていただくようになって、徐々に自分の軸を持ち始めることができました。生徒たちが、私のネイルやファッションを『まねしたい』と言ってくれて、そんな子たちのお手本でいるためにも、『ちゃんとせなあかんな』と考えるようになっていきました」
そんなSHINKOが、ダンスだけでなくマインドを教えるようになったのは、20代前半のことだった。
「それまでは、自分だけが家庭環境のせいでしんどい思いをしていると勝手に思っていました。でも、明るく楽しそうにしている生徒ですら、『そんなトラウマがあったんだ』ってぐらい、つらい過去を背負っていたんです。それを知った瞬間に『いつまで私は過去の家庭環境のせいにしているんだろう』と目が覚めました。『みんな、いろんなことを背負いながら、一生懸命生きているんだ』と、悟りを開いた感覚でした。『だったら、みんなを盛り上げることに徹する方が、私らしい人生だ』と、考えるようになりました」
生徒たちの“憧れの先生”。そこに近づくために努力していった結果が現在のSHINKOという人格を作り上げたと語る。「今でも、プロデューサーという立場は、あの子たちがやらせてくれているという感覚です」。
GALEDGE.のメンバーも、出会った15年前はギャルとは程遠い存在だった。かつては学校になじめなかったり、内向的な子が少なくなかったという。だからこそ、ダンスやビジュアル以上に精神面を磨くことに意識を置いてきた。
「ダンスやビジュアルは二の次。しっかりとしたマインドが軸にないと、これから挑戦していく世界で戦っていくことはできません。GALEDGE.には、『居場所がない子たちに背中を見てもらう』という大きな目標もあります。自分たちのメンタルが弱くては、ヒーローになんてなれません」

GALEDGE.として目指す舞台は「コーチェラ」
そんなSHINKOが掲げる“ギャルマインド”には、明確な定義がある。
「自分を愛して、自分の好きを貫くことは大前提です。そのネクストフェーズとして、仲間を応援することを大切にしていきたいんです。周りに迷惑をかけてでも自分の好きを貫くだけは違う。自分の好きを貫きながら、仲間のやりたいことも肯定してあげる。『みんなで手を取り合って上へ登っていこうよ』が私流ギャルマインドなんです。筋を通さなかったり、礼儀がなってない生徒には徹底的に指導してきました」
ギャルに対する否定的な意見を受けることもあるが、「どんな意図であれ、ギャルが議題に挙がることがうれしいんです」と前向きに受け止めている。
「批判であっても、意見を言ってくださる方が増えるのは大事なこと。ギャルが一過性のはやりではなく、一つのカルチャーになっていくためには、必要な過程だと思っています。そのうえで、その先入観を私たちが変えていけばいいと考えています」
かつてと現在では、ギャルブームの在り方にも違いを感じている。「海外でも日本のギャルカルチャーが注目されていますが、例えばTシャツのロゴにギャルマインドが一言書いてあったりと、ファッションだけでなく、今はマインドも一緒に発信されているんです。外見だけではなく、精神面もセット。そういったものが、カルチャーになっていくんだと感じています」。
目指す場所は明確。「コーチェラ(アメリカで開催される世界最大級の音楽フェス)」と断言する。「アーティストとして有名になるだけではなく、見た目でも楽しんでもらって、加えて歌って踊れて、MCでは熱いマインドを伝えていく。『日本のギャルおもろ!』ってなってもらいたいです」。
GALEDGE.には、ギャルカルチャーの発信のほかに、“裏テーマ”として、SHINKOがひそかに掲げていることがある。11人の成長物語を届けるという側面だ。
「11人の女性がどれだけ長くGALEDGE.を続けられるのか。女の子には、環境の変化、結婚のタイミングなどいろいろ考える時がくると思います。11人で団体行動していると、時にはぶつかったりすることもあると思います。そこにも向き合いながら、真っすぐに長く挑戦し続けたいです。『11人で一緒にお墓入ろう』とメンバーが言っているぐらいです(笑)」
幼少期に感じた孤独感。そんな時にエンタメやギャルカルチャーに触れることで、SHINKOは救われてきた。“現実逃避”からはじまったエンタメへの憧れだったが、今は信念を持って発信を続けている。
「私のように居場所がなくて、寂しい思いをしている子たちをとにかく救いたいんです。そんな使命感をいつからか持ち続けるようになりました。みんなを巻き込んでいって、関わった全員を幸せにしていきます。『GALEDGE.と関わるようになってから、マインドが良い方向に向かっていくようになりました』と言ってもらえることもあって、確かな手応えも感じています。うちらのギャルバイブスに共鳴してくれる人を一人でも増やしていきたいです」

□SHINKO(しんこ)ダンスキャリア20年以上を持ち、東方神起ツアー出演のほか、MINMIらの振付や演出を担うなどトップクリエイターとしての顔を持つ。全国でのダンスレッスンを通じて指導した人数は累計約1万人にも上る。11人組ギャルパフォーマンスグループ・GALEDGE.のギャルプロデューサーを務める。同グループは、10月14日にデビューシングル『WILDCARD』をデジタルリリースする。
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