清水尋也、撮影現場は毎回、地獄「酸欠みたいになって気絶しかけたのは人生初」
「作品とタイミングには本当に恵まれた」
――俳優としての変わり目となった作品はありますか。
「決定的なのは中島哲也監督の『渇き。』ですね。中島監督には『お前は台本に書いてあることしかやらないから面白くない。台本に書いてあることは最低限のこと。もっと自分で考えて、自分がこうしたらいいんじゃないか。もっと面白いと思うことを試せ』と言われました。それで、自分で考えて、試していく意味や楽しさを見つけました。この時にお芝居の深さに気づけました」
――「渇き。」ではいじめに遭う役でした。中島監督は厳しい指導で有名ですが、いい時期に出会うことができましたね。
「『渇き。』もそうですが、(不良少年役の)成島出監督の『ソロモンの偽証』も節目になった作品です。両方オーディションだったので、自分の自信にもなりました。作品とタイミングには本当に恵まれているなと思いますね。中島監督、成島監督を始め、仕事を一緒にさせていただいた監督さん、俳優さんには感謝しかないです」
――本作は第2回未完成映画予告編大賞の受賞作の映画化。広告映像で数々の賞に輝く井手内創監督と「佐々木、イン、マイマイン」(11月27日)の公開を控える新鋭・内山拓也監督によるもの。お二人とはいかがでしたか?
「二人がぶつかり合うのを見たことがない。不思議な関係性でした。内山さんとは『青い、森』以降もミュージックビデオでお仕事をさせていただきましたが、フィーリングが合うんですよね。一度、夜通し話した時に、価値観が似ているなと思って、グッと距離が縮まりました。全面的に信頼を置いているし、内山さんとならいいものしか作れないと思っています。兄貴って感じですね。僕は『死ぬまで内山さんのオファーを受ける』と宣言しているんです。毎回、撮影現場では地獄を見ているんですけど、内山さんに追い込まれるとちょっと気持ちがいいんです(笑)」
――本作で地獄を見た部分とは何ですか。
「僕が転がり落ちて、ハーハー息を切らしているシーンがあるんですけど、その真っ最中に僕、気絶しかけているんです。息を切れるシーンを何回もやっていたら、酸欠みたいになってしまって気絶しかけたのは人生初でした(笑)。この話、内山さんからは『俺の仕事が減るから、あんま言うな』って言われているんですけど(笑)」
――見て欲しいシーンはありますか。
「やっぱり、気絶したところですかね(笑)。後はトラック荷台で話すシーンが好きです」