52歳の清春が語るロックミュージシャンとしての“在り方” 貫き通した美学とは
ロックミュージシャンの清春が30日、52歳の誕生日を迎え、都内のホテルで自叙伝「清春」の発売を記念した記者会見とバースデーライブを開催した。
「個の美学」僕の中でのロックの1つの魅力
ロックミュージシャンの清春が30日、52歳の誕生日を迎え、都内のホテルで自叙伝「清春」の発売を記念した記者会見とバースデーライブを開催した。
自身の生い立ちから現在までの50年間を飾ることなくストレートに振り返った自叙伝は新型コロナウイルスの影響もあり、予定より1年遅れて、この日発売となった。
「自叙伝を出せるようなミュージシャンて日本でも少ないので、その仲間に入りたいなって」と時折、笑みを浮かべながらそのきっかけについて語った。
完成した著書の感想を聞かれると「普通なら大人になっていくと理想と現実が離れていくんだけど、(読み返してみて)高校生ぐらいの時に思っていたロックミュージシャンの“在り方”っていうのを(今でも)何となく貫き通している気がして。たぶんそこがこの本の中心になっていると思うんです」と説明。
なかでもロックミュージシャンとしての“在り方”として、インディーズ時代から現在まで個人事務所で自身のスタイルを崩さずにやってきたことを取り上げ「たぶん(大手事務所に)行ってたら干されていたと思う。自分の思い通りのわがままを通せるような環境を自分で作っていった」とそのこだわりの一端を明かした。
また、お酒が飲めないことや意外と真面目だと打ち明けながら「海外のロックミュージシャンて、だいたい1回捕まっているじゃないですか? 海外だと1個のキャリアになるので、そういうことがあったら書けるじゃないですか? 日本だとタブーなんで絶対やっちゃダメなんですけど」とジョークを交えながら、「そんな僕が思っているロックっぽい感じって10年くらい前からなくて、僕が思っているロックは“悪は正義”だったんですけど、今って“悪は悪”じゃないですか? 変わってしまったなっていうのはありますね。でも長くやっていくっていうのはそういうのに対応していくっていうことですからね」と感慨深げに話した。
一方でリスニングスタイルの変化について聞かれると「あんまり僕は気にしていない」とし「レコードがCDになってMDになってストリーミングで形もなくなってしまった時代なんですが、それってたぶんツールが違うだけで、センスのいい耳を持っている人は良い音楽を探すでしょうし、鍛錬して上がってきた人は絶対に勝つし、フラっと歌ってみたっていう人はその年しか聞かれなくなる。音楽の楽しみ方は、時代が変わってもそんなに差はないと思います」と答えた。
音楽活動で大切にしていることを聞かれると「個であること」へのこだわりを語った。
「僕が好きだったのは、バンド全体ではなく、バンドの中で1つ頭が出ている人、その人の『個の美学』が僕の中でのロックの1つの魅力でした。1人を見ていた方が勉強になりましたね。その人がどういう考えを持っていて、どういう音楽を表現しているか、急にバンドを解散して『どこ行ったんだろう?』って思ったり。そういうバンドの中の好きな誰かを通じて、僕もああいう人生を送りたい、こうなりたいって思っていた気がして」
「僕もまあバンドが早い段階で解散して、その先不安だったんですけど、でもめちゃくちゃ売れることはないものの、残っていく自信はあったんでね。時代も変わって、僕らみたいなジャンルのミュージシャンというのは、個人名でしか残っていないんです。若いバンドの皆さんは、バンド名でやった方が集客もできるでしょうけど、長くやっていくと個人でしか残っていなくて。バンドも再結成してやりましたけど、でもマーキングされるのは個人なんでね」