コロナショックで転職し派遣で看護助手へ 大卒アラフィフ男性が語る率直な胸の内
体力がついてかえって健康的に!? という前向き思考
つらいといえば、時間に縛られていることです。これまで長い間、いつ仕事をするかは自分が決めていたのに、今は午後3時45分になったら、やる気が出るとも限らないのに、仕事をしなければいけませんから(笑)。そして、午後3時45分の出勤時間に合わせて家を出て電車に乗り、着替えて病棟に入らなければいけません。電車に乗り遅れてはいけない、と毎日緊張するので、出勤前の1時間だけがちょっとストレスですね。
ずっと立ち仕事というのも、最初は身体に負担でした。模型を作る仕事は座り仕事なので……。グッタリ疲れて、1か月で5キロ以上は痩せたと思います。ズボンの腰回りがブカブカになって、身体が軽くなり、歩くのも速くなりました。座り仕事を続けているうち、知らず知らずのうちに体力が落ちていたのでしょうね。立ち仕事で体力がついて、健康になったかもしれません(笑)。
もしもコロナにかかったら… 怖くはない、と言い切った
病院はなるべく行きたくないところではありますよね。私ももともと血がものすごい苦手で、痛々しい傷口を見ていられない。そういう場面に遭遇したらどうしよう、と不安でした。でも、心配無用でしたね。私の配属は心臓血管外科なのですが、人が血を流しているような姿はまったく見ませんから。良かった(笑)。もし、下の世話や吐瀉物の片付けが必要になったら? それは、全く苦になりません。なぜか……。う~ん、もともと、そういうタチなんだと思います。
お亡くなりになった方が、ストレッチャーに載せられて顔に白い布を被せられて運ばれている場面には、配属2日目に遭遇しました。怖い、と感じたり、ショックを受けたりする人もいると思いますが、私は大丈夫でした。私は亡くなられた方には、「お疲れ様でした」という気持ちになるんです。これまで、私をかわいがってくれた祖父や祖母が、食道がんなどで苦しんで亡くなっていくのを見てきた影響かもしれません。死は遺された家族にとっては大きな悲しみですが、本人にとってはむしろ苦しみから解放されることだ、と考えているんです。
コロナが流行している今、あえて病院で働くことに抵抗がある人もいるかもしれません。でも、私はそれも気になりません。私が今、働いている病院はコロナ患者を受け入れている病院ではありませんし、そもそも私はコロナもほかの病気もあまり怖いとは思っていないんです。マスクや手洗いなどの感染対策はもちろんしていますが、どんなに予防に努めてもかかる時はかかる。そして、コロナであれ、何であれ、人はいつか、何かで死にます。もしコロナに感染して死ぬことになっても、それは私の運命だ、と思っているからです。
ネタ集め、という考え方も前向きになれる理由か
楽しみといえば、煙草を吸うことぐらい(笑)。しかも今は、勤務時間中は吸えません。それでも、1日を無事に終えて帰って、煙草1本吸えればじゅうぶん。病院では今日元気でも、明日ちゃんと生きているとは限らない人もいますからね。それに比べれば、「今日1日無事に終われば良し」です。
病院から帰宅したら食事と入浴をして、今も働く73歳の母親の身体をマッサージしてあげて、書き物をして寝る毎日です。書き物というのは、実は、将来はエッセー本を出すのが夢なんです。だから、今の仕事をすることになったのは、そのネタ集めになるともいえます。そう思っているから、現状を前向きに受け入れられているのかもしれませんね。